1993 Fiscal Year Annual Research Report
炭化珪素粒子分散型アルミニウム合金の穴明け用多結晶ダイヤモンド工具の設計と製作
Project/Area Number |
04650105
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
能登谷 久公 富山大学, 工学部, 教授 (80019182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 茂 富山大学, 工学部, 助教授 (00174714)
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Keywords | スリーレーキ / SiC粒子分散型アルミニウム / TiNコーティングドリル / 穴明け加工 / PCDドリル / 超硬ドリル / ダイヤモンド粒径 / 工具摩耗 |
Research Abstract |
ドリルの先端に取付けるPCDチップは、シェブロンタイプよりも、スペードタイプのチップを用いると超硬ドリルの先端に、溝を1つだけ水平に設ければ良いので溝加工が容易であり、ロウ付けも一様に出来、安定した強度が得られた。但し、中心の位置決めだけは十分慎重に行う必要がある。中心位置がずれると、その後のダイヤモンド研磨で修正しなければならず大変であった。一方、PCDドリルの工具摩耗量は、ダイヤモンド粒子の粒径によって変化すると考えられる。このため、粒径の異なったドリル用PCDチップを探したが入手困難であったので、フライス用PCDチップを用いて粒径の影響を調べた。フライス加工とドリル加工では、その加工様式は大きく異なるが、工具摩耗機構は、いずれもSiC粒子の引っかきによる摩耗もしくは摩擦熱の発生による熱的摩耗と考えられるので、切削速度と送り量を変化させて調べた。その結果、50μm程度の粒径のPCD工具が、10μm,20μmおよび100μm程度のものより工具摩耗が小さかった。粒径の大きいPCD工具では、摩耗はダイヤモンド粒子のチッピングにより生じるので、加工速度を速くしても工具摩耗曲線の傾きは同じであった。しかし、粒径が10μmあるいは20μmと小さい工具では、加工速度が増大するにつれて、工具摩耗曲線の傾きは序々に増大した。また、加工速度が5m/s以下では摩耗曲線の傾きは変化しないことより、この速度以下では、熱的摩耗はほとんど進行しないと考えられた。φ8mmのPCDドリルを用いて機械の最大能力である3000rpmまでの穴明け加工を乾式と湿式の両方で行ったが、工具摩耗量に大差はなく、この速度域においては、まだ熱的要因による摩耗はほとんど進行しないことがわかった。このことより、ダイヤモンドドリルを使用して、この工具の能力を最大限に引き出すためには、もっと主軸回転数を高く設定できる機械が必要であると思われる。TiNコーティング超硬ドリルの性能は単なる超硬ドリルの性能を上まわることはなかった。
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