Research Abstract |
1)スタンパブルシートに使用するチョップトストランドガラス繊維の繊維含有率を20,30,40,50%,繊維長を3,6,13,25mm,ガラス繊維のほぐれ具合を示す繊維解繊度を4種類に変えたスタンパブルシートを用意して,100×200×3mmの平板状成形品を作り,その中から曲げ試験片を切り出し,曲げ試験を行った.このときに放出されるAE波の周波数分析を行い,曲げ破壊様式の解明を試みた.その結果,スタンパブルシートの曲げ破壊中に発生するAE波の周波数は,(1)マトリックスの破壊が65kHz付近,(2)ガラス繊維の破断による破壊が85kHz付近,(3)ガラス繊維とマトリックスとの間の摩擦を伴ったすべりによる破壊が105kHz付近,(4)ガラス繊維どうしのずれによる破壊が135kHz付近,(5)ガラス繊維とマトリックスの界面の剥離による破壊が160kHz付近とわかった. 2)ブランク(88×44mm)を4枚重ね,金型の片側に寄せてチャージし,成形時の金型キャビティ内圧力を測定した.圧力挙動は次のようになる.金型圧力はラムの下降とともに増大し,成形材料が金型の端まで流動すると,ラムの下降が停止するため最高圧力に達する.その後,圧力は少し減少し,一時安定圧力になる.この値はほぼ設定圧力に等しい.さらに樹脂の硬化収縮に伴い,圧力は減少していくが,この金型はポジティブ型であるため,樹脂の収縮とともに圧力が増大する測定点が生じる.しかもその値が設定圧力の1.5倍程度にまで高くなることもある. 3)繊維長を変化させた成形材料では,繊維長が短い成形材料ほど圧力損失は大きい.繊維含有率を変化させた材料では,含有率が20,30%ではほとんど圧力損失はないが,含有率が多くなると圧力損失が大きくなる.繊維解繊度を変化させた材料では,解繊度が上がるほど,すなわち繊維がほぐれているほど,圧力損失が大きくなる.
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