1992 Fiscal Year Annual Research Report
極低温真空中におけるマグネット構造材料のトライボロジー特性
Project/Area Number |
04650123
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岩渕 明 岩手大学, 工学部, 教授 (00005555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 友治 岩手大学, 工学部, 助手 (10240649)
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Keywords | トライボロジー / 摩擦 / 極低温 / 真空 / 超伝導マグネット / 摩擦発熱 / 構造材料 |
Research Abstract |
本年度の研究は、極低温真空中において以下のことが検討された。 (1)昨年度、温度が約5Kまで下がらなかった材料組み合わせ、JN1-JN1、JN2-CuNi(キュプロニッケル)、JN1-CuZn(黄銅)、などの約5Kでの摩擦係数の繰り返し数による変化を求めた。JN1-JN1では摩擦係数μが増加して最終的にはμ=3.0程度まで増加すること、JN2-CuNiでは強い凝着が生じ、一種のスティック・スリップの麻擦挙動がみられた。しかし、JN1-CuZnではμ=0.4程度の低い値をとった。 (2)極低温真空中での摩擦係数の温度依存性を、新たにJN1-JN1、JN2-JN2、JN2-CuNi、Cu,-CuSUS316L-SUS316Lの組み合わせについて求めた。温度は約5Kから上昇速度1K/minで約150Kまで変化させた。その結果温度にかかわらず、Cu同士はμ>4、SUS316L同士は測定限界以上の高い摩擦係数を示す。一方JN1同士は40K以下でμの変化がみられるが、それ以上の温度ではほぼ安定した値(μ=0.6)をとり、JN2同士では温度と共に除々に上昇し、130Kではμ=1.3程度になる。従って、昨年求めたJN1-Cuのような、ある温度範囲で摩擦係数が上昇する傾向はみられなかった。 (3)電離真空計で雰囲気圧力を測定しながら、同時に質量分析計で残留ガス成分の分析を、約5Kから130Kの範囲で摩擦試験と並行して行った。その結果、約20Kと50K、100Kで圧力の上昇ピークが現れ、その上昇をもたらしたガス成分は20KではH_2、50KではN_2、100KではCO_2であった。摩擦係数に強く影響するガスは酸素や水分であるので、これらのガスは摩擦係数の変化にはほとんど影響しないガスであると考えられる。 来年度は、試験片に熱電対を挿入して、摩擦による温度上昇を測定し、摩擦発熱と温度上昇の検討を行う。
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Research Products
(1 results)