1992 Fiscal Year Annual Research Report
低沸点の凝縮液体を溶解した潤滑油による混相流の流体潤滑問題
Project/Area Number |
04650127
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中原 綱光 東京工業大学, 工学部, 教授 (80016625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京極 啓史 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70153236)
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Keywords | トライボロジー / 潤滑 / 潤滑油 / 混相流 / 冷媒 / 圧縮器 / 流れの可視化 / ジャーナル軸受 |
Research Abstract |
本研究は、実際の冷媒圧縮器における潤滑油膜の観察を行ってキャビテーション状態を把握する、と同時に、稼働状態での潤滑油粘度と冷媒溶解度を測定することにより、軸受特性を予測できる潤滑流れの理論モデルを構築することを目的として行った。 1.そのために先ず、市販の冷媒圧縮器の下部軸受を透明な石英製軸受に変え、装置外部から観察用円筒を貫通し、さらに底部より照明用円筒を軸受端面まで挿入して照射することにより、軸受内流れが観察できるように改造した実験装置を用いて軸受内油膜を観察し、その画像データを本補助金により購入した画像処理用計算機によって処理した。 2.次に、圧縮器下部に設置した電磁ピストン駆動式オンライン粘度計を用いて稼働状態での冷媒混合潤滑油の粘度を測定した。 3.さらに、圧縮器の一部に透明な窓を設けて潤滑油中に比重ボールを浮べることにより、圧縮器稼働中の潤滑油密度を測定し、予め求めた潤滑油密度と冷媒溶解度の関係から稼働中の冷媒溶解度を求めた。 以上の実験より、(1)実際の圧縮器内においては、冷凍機油と冷媒は完全には撹伴されていない、(2)圧縮器軸受内部では大きなキャビテーション領域が観察され、分散した小気泡は観察されない、(3)これらのキャビテーション現象は空気の溶解した鉱油における潤滑油膜の状態とほぼ同様である、ことなどが明らかになった。 4.これらの実験結果を考察することにより、軸受特性を予測するための、相変化を伴う潤滑流れの理論モデルを構築することができた。 5.その理論モデルに基づいて軸受特性に及ぼす圧縮器内の圧力、回転速度の影響などについて数値計算を試みたが、研究期間内に実験結果と定量的に一致する結果を得るまでにはいたらなかった。
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Research Products
(1 results)