1992 Fiscal Year Annual Research Report
接触ロール系のロールに巻かれた粘弾性体の多角形化現象に関する研究
Project/Area Number |
04650222
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末岡 淳男 九州大学, 工学部, 教授 (80038083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝広 福岡工業大学, 工学部, 助教授 (80136522)
劉 孝宏 九州大学, 工学部, 助手 (60230877)
田村 英之 九州大学, 工学部, 教授 (20037724)
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Keywords | 接触回転系のパターン形成 / 回転体の振動 / 安定性 / 接触振動 / 時間遅れ系 / 多角形化現象 / 粘弾性体の振動特性 |
Research Abstract |
接触回転系におけるロール外周部には、接触部の強い連成に起因してロール周上に変形が徐々に蓄積し、その成長過程を経て特有の周期的パターンが形成されるという、いわゆる、ロールの多角形化現象が発生する。本研究では、抄紙機のスムーザーロールおよび繊維機械のワインダー系に生じるゴムおよび弾性系の周期的パターン形成に関する実験と解析を行った。結果は以下のようにまとめられる。 1.ゴムおよび弾性系の粘弾性特性を3要素モデルでもモデル化し、0.1秒程度で繰り返し接触部に出入りするときのモデル中の粘性係数が時間依存性を有することを実験で確めた。その実験結果に基づくパラメータを用いて数値計算を行った結果、多角形化現象を生じる不安定領域の実験機および実機との良い一致が確められた。 2.接触回転系に発生するロールの多角形化現象をメカニズムに力点を置いて、粘弾性変形を伴う時間遅れ系としてモデル化し、ラプラス変換、偏角原理を用いて不安定領域を示した。系全体の固有振動数=回転数×角形数の近似関係が成立し、各角形数ごとの不安定領域が散在する。 3.不安定性は、接触部で逆位相となる振動モードで発生しやすい。 4.接触回転系のパターン形成に対する対策としては、系に外部減衰を利かせることが有効である。自励振動に対する対策と同様である。 5.ワインダー系の弾性系の変形は過渡的な応答の中で生じる多角形化現象である。ドライブロールの回転数を一定にして、ボビンホルダーの回転数が徐々に変化する実機に沿った運転では、ドライブロール回転数と弾性系の半径平面に描かれる不安定領域は各角形数ごとにブーメラン形をし、ボビンホルダーの巻取り開始から終了までの運転時の安定性を示すことができた。巻取り開始後、三角形の多角形化現象が発生する実機の結果と非常によい一致を確認した。
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[Publications] 山口 正博: "Deformation-Reconery Characteristics of Rubbers at High Strain Rates" Proceedings of International Symposium on Impact Engineering. 705-709 (1992)
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[Publications] 末岡 淳男: "ゴム巻きロールの多角形化現象" 日本機械学会論文集. 59. (1993)