1992 Fiscal Year Annual Research Report
複数プルーフマス型制振器による柔軟宇宙構造物の振動制御
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04650225
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 和夫 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (80101997)
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Keywords | 宇宙構造物 / 柔軟構造物 / 振動制御 / プルーフマス / H^∞制御 / 制振 |
Research Abstract |
柔軟宇宙構造物の振動制御問題は、今後予定されている宇宙開発を実現するためには欠かすことのできない技術的課題であり、理論的かつ実験的な研究が多くなされてきた。本研究は、複数プルーフマス型アクチュエータを用いて柔軟構造物を振動制御する場合に対して、申請者が提案してきたスピルオーバを考慮する最適振動制御手法とH∞制御手法を合体した新しい制御手法によって、ロバスト性が高く制御器の次数が低い新しい振動制御手法を確立し、その有効性について理論的かつ実験的に明かにすることを目的とした。 具体的には、曲げ、ねじれ連成振動が生じる4層柔軟構造物を制御対象として、ロバスト安定を保ちつつ4層の曲げ振動およびねじり振動を同時に制御することを目的として、制御系の設計を試みた。構造物は1次モードが3.6Hz程度の柔軟な骨組み構造とし、第3層に連成振動を起こす偏りを与える重りを設置した。最上階にはリニアモータによるプルーフマスが2つ平行に設置してあり、同相に動かすことで並進の曲げ振動を抑制し、逆相に動かすことでねじれ振動を抑制することが可能である。構造物の全質量は約9Kgであり、プルーフマス質量は2つで約0.22Kg、その質量比は約2.4%である。センサーとしては、最上階の2箇所に加速度ピックアップを装着して構造物の振動計測を行い、各プルーフマスに渦電流型の変位計を設置して構造物とプルーフマス間の相対変位を検出した。 制御手法としては、H∞出力フィードバック制御手法を用い、各アクチュエータ位置における低次元化モデル化誤差をそれぞれ包絡するような周波数成形を行って、スピルオーバに対するロバスト安定性を確保しつつ、出力の低感度を図る混合感度問題として安式化した。数値計算と制御実験を行い、周波数応答とインパルス応答を調べた結果、得られたH∞制御器は高い制振効果を有することが明かにされた。
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Research Products
(2 results)