1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650264
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮入 圭一 信州大学, 工学部, 助教授 (10023251)
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Keywords | 放電プラズマ / 放電発光スペクトル / スパッタ薄膜 / 誘電体薄膜 / 酸化タンタル膜 |
Research Abstract |
本年度の研交計画は、既存のスパッタ装置にプラズマ観測が可能な窓を設け、申請した分光装置により放電中の発光スペクトルを測定し、放電プラズマの状態と発光波長および発光強度との相関を求めることである。背光は測定の感度を低下させるので、観測窓と分光器との結合を密にするためアダプターを設けた。一般に、分光器は波長によって分光効率が異なるので、波長の異なる光の強度を比較する際には注意が必要である。そこで、本実験では、標準電球をスパッタ容器内に入れ、校正を行った。以上の準備により、放電プラズマの発光スペクトルが観測可能になったので、以下の項目について、さらに実験を行った。(1)スペクトル分布の測定と発光過程の同定、(2)スペクトル分布と投入電力の関係、(3)スペクトル分布と放電ガス圧の関係、および(4)作成膜とスペクトル分布との相関性の有無。その結果、(1)については、アルゴンの4P軌道から3P軌道への電子の遷移に基づく発光が全体の光強度の9割以上であり、(2)では電力の増加に比例してスペクトル全体の光強度が高くなる、(3)については1Pa付近で最も発光が強く、その前後では弱いことが、また(4)については3Pa、100Wの条件下で作成された膜のTanδが小さく、良質の誘電体膜である可能性が高いことが判った。ただ(4)については実験開始12間もないため、測定回数が未だ不十分で信頼性に乏しく、今後のデータの蓄積により明確にする必要がある。以上の結果を通して、放電プラブマの発光スペクトルの観測は放電状態の把握に有効であると考えられる。
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