1992 Fiscal Year Annual Research Report
非電離性の味物質を高感度で受容する味覚センサに関する研究
Project/Area Number |
04650270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都甲 潔 九州大学, 工学部, 助教授 (50136529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 和生 九州大学, 教養部, 助教授 (50091393)
松野 哲也 九州大学, 工学部, 助手 (80243921)
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Keywords | LB膜 / 味覚センサ / 高感度 / 脂質膜 / 味物質 |
Research Abstract |
本研究では、現有設備のラングミューア・ブロジェット膜作製装置を用いて、配向性が優れた脂質膜(LB膜)を貼り、この電極の特性を調べた。脂質材料としてリン酸ジヘキサデシルを用い、以下の事実を明らかにした。 1)膜の層数5以上の層をもつLB膜では、膜抵抗や膜電位は層数への依存性は見られなかった。膜抵抗も数GΩ・cm^2とかなり高く、よく知られた黒膜(BLM)と同程度であった。水溶液中での安定性もかなり良好であった。 2)5種類の味物質に対する膜電位の応答は明瞭に異なっており、この結果から、5つの味をLB膜で識別できうることがわかった。 3)応答の閾値も、苦味や酸味物質では約1μM、塩味物質では約0.1mM、甘味物質では約1mM、うま味物質では10μMであり、これは生体系よりもかなり低い濃度であった。つまり、LB膜を受容部に用いた味覚センサは、人よりも高い感度を持ちうることが示唆された。 4)塩味物質に対しては、いったん膜電位が下がるという傾向がみられた。これは膜脂質の親水基部のH^+電離が促されていると考えられ、膜脂質は低いイオン濃度環境では完全には電離していないことが示唆された。 5)非電解質である甘味物質に対しても、1mMという低い濃度から応答が得られ、LB膜が非電解質に鋭敏に応答する可能性が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nomura: "A theoretical consideration of interactions between lipid membranes and taste substances" Sensors and Actuators. 4. 89-99 (1992)
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[Publications] Y.Saida: "Taste detection using chaos in excitable lipid membrane" Sensors and Actuators. 4. 135-144 (1992)