1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650293
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
多氣 昌生 東京都立大学, 工学部, 助教授 (60145670)
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Keywords | 電磁界 / 生体影響 / 近傍界曝露 / 電磁ドシメトリ / 人体曝露 |
Research Abstract |
人体防護の観点から、人体の共振周波数領域である30-300MH_Zの電磁波の人体曝露は、遠方放射源に対しては厳しく制限される。しかし高周波利用設備等の近傍放射源では、曝露が身体の局所に限られること、吸収の大きいE偏波以外の成分が含まれること、リアクティブな電磁界は吸収が小さいことにより、防護指針に示される電磁界強度の数値より曝露の制限が緩和できると考えられる。本研究では、近傍放射源に対する人体の電力吸収を数値的に解析し、その特性を明らかにした。 まず、解析的に解の得られる球モデルにより人体を表わし、数値計算上の誤差によらない定性的な性質を検討した。さらに、より定量的な検討を行うために、人体を計180の要素からなるブロックモデルで表わし、その吸収特性を解析した。解析の結果、近傍におかれた微小電気ダイポールによる人体の全身平均の吸収電力(全身平均SAR〔W/Kg〕)は、人体への入射電界強度の最大値を等しくした場合には、吸収が最大となるE偏波の平面波曝露の場合に比べて概略2桁以上小さく、また放射源との距離が40cm程度以下では吸収の周波数特性の共振によるピークが見られないことが明かとなった。さらに、平面波曝露時と近傍放射源曝露時の全身平均SARを対応づけるには、人体の占める領域での2乗平均入射電界強度を用いることが適切であることが示された。一方、近傍放射源が微小電流ループである場合も同様に、平面波曝露時の入射電界と近傍放射源曝露時の2乗平均入射電界強度が等しい場合に全身平均SARがほぼ等しいことが明かになった。これに対し、微小電流ループ近傍では磁界強度が支配的であるにもかかわらず、磁界強度は評価基準として適当でないことが示された。これらの結果は、近傍放射源の人体曝露評価に有用なものであり、電子情報通信学会大会等で発表され、さらに現在同学会論文誌への投稿準備中である。
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