1992 Fiscal Year Annual Research Report
任意形状三次元物体による電磁波散乱の数値解析ならびに測定に関する研究
Project/Area Number |
04650296
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻 幹男 同志社大学, 工学部, 助教授 (50148376)
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Keywords | 等価ダイポール法 / 散乱断面積 / モード整合法 / 電磁波散乱 / 半波長アンテナ |
Research Abstract |
本年度は、まず3次元物体として軸対称有限長円筒導体ならびに誘電体をとりあげ、等価ダイポール法を用いてその散乱断面積を求めた。散乱体の大きさが波長程度の場合には等価ダイポールを100個程度配置すれば、十分に精度の良い結果が得られ、円筒の直径と高さの比が1に近い場合のみ解析精度が期待できるモード整合法との比較においても、比が1に近い形状においては導体、誘電体どちらの場合も両者の値は一致した。このとき、解くべき方程式の未知数の数について検討すると、同じ程度の精度を得るために必要な等価ダイポール法の未知数の数はモード整合法のそれのおおよそ半分ですむことがわかり、任意形状に適用可能な有用性を持つばかりでなく、軸対称構造の物体の解析にも非常に有用な方法であることが明かとなった。また、10GHz帯において種々の導体、誘電体の散乱物体を製作し、その散乱断面積の測定を行った。測定値は本法による理論値と一致し、実験面からも本法の有効性が検証できた。次に、散乱体が波長に比べて十分に大きな場合について本法の有効性を検討した。その結果、通常の解析手順ではダイポールを非常に多数配量することが必要となり、記憶容量、計算時間の面から計算精度を上げるのが困難なことがわかった。そこで、対称座標法に基づく多相多方向入射法を用いてダイポール数の低減化を試みたところ、散乱体の大きさにより、入射波の相数に最適値が存在し、最適値近傍では十分な精度が得られることが判明した。従って、この入射法を用いれば、散乱体の大きさに関係なく、等価ダイポール法が有力な解法になることが明かとなった。最後に本法の有用性を示す一例として、半波長アンテナに代表される線条アンテナが有限な径を持つ場合を解析し、径が波長の100分の1程度であっても、それがアンテナ特性に与える影響が求められることを確かめた。その特性については次年度に詳細に検討する。
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Research Products
(1 results)