1992 Fiscal Year Annual Research Report
医療診断用超音波回折トモグラフィーの実現とその画質向上
Project/Area Number |
04650363
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山田 晃 東京農工大学, 工学部, 助教授 (20159213)
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Keywords | 超音波CT / 回折トモグラフィー / 音響画像 / 逆散乱 / 超音波医療診断 / 乳がん検診 |
Research Abstract |
比較的寸法の小さい試料(4cm四方程度)を測定対象とする基礎的検討ではあるが,以下のような画像誤差軽減対策を施すことにより従来にない高品質な画像が実現できることが示された. (1)画像誤差の検討と構成条件の最適化:リトフ近似によるモデル誤差と入力雑音などによる測定誤差の影響並びに,実用を前提とした場合の誤差の許容値をシミュレーションと評価実験により明らかにした.また,モデル誤差と測定誤差の両者の兼ね合いから,画像誤差を最小とする周囲媒質音速に最適値が存在することを明らかにし,評価実験によってその有効性を検証した. (2)均一な平面波照射音場からの試料回折特性の測定:長方形振動板から放射される音波の基本波エッジ波との干渉を回避するために,デジタル同期検波方式によりバースト受信波の立上がり直後の区間だけを処理することにより散乱特性を精度よく測定する方法を提示した.更に実際の評価実験によりその有効性を検証した. (3)平滑化フィルタ処理:画像計算過程における入力誤差の増大を抑えるために,高域の空間周波数成分を抑圧するための平滑化フィルタ処理を提示しその有効性を検証した.また,入力誤差による最適なフィルタ次数を明らかにした. 以上の検討の結果,実用化への基礎的見通しを得ることができたが,(1)測定対象の寸法で大きくなり観測距離が長くなった場合の測定誤差,(2)2次元形状から外れた場合や減衰を含む場合のモデル誤差,(3)複数領域を含む場合の多重散乱誤差,などの点は今後の検討課題として残された.次年度は乳がん検診などの実際の医療診断への適用を前提としてより広い測定範囲(15cm四方程度)を対象とする画像システムを試作し,これらの点に関する最終的な評価試験を行っていく予定である.
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