Research Abstract |
本研究は,q個の実数パラメータλ=[λ_1,λ_2,…,λ_q]に依存して決まる動的システムS(λ)の族Sに対して,その数学的記述,構造および制御理論への応用を目的としている。本年度は,特に,Sが線形で状態空間Xが有限次元かつパラメータλに関して多項式の場合をq=1とq(] SY.gtoreq. [)2に分けて考察した.q=1の場合,Sは1変数実多項式環R[λ](これは,より一般的に単項イデアル整域へ拡張できる)上の線形システムとして記述できるので,この環の性質を利用してシステムSの基本構造を調べた。特に,(A,B)不変部分加群,(C,A)不変部分加群および可制御性部分加群の性質について詳しく考察した。また,これらの結果を外乱除去問題およびブロック三角形非干渉制御問題に応用し,それらの問題が解けるための必要条件,十分条件を求めた。以上の成果を,第36回システム制御情報学会研究発表講演会(1992年5月)および第15回Dynamical System Theoryシンポジウム(1992年12月)において発表した。q(] SY.gtoreq. [)2の場合,Sはq変数実多項式環R[λ_1,…,λ_q](これは,より一般的に一意分解整域へ拡張できる)上の線形システムとして記述されるので,この環の性質を利用してシステムSの基本的構造を調べた。特に,伝達関数の分解に関する問題および前置補償器の静的状態フィードバックによる実現の問題について詳しく考察した。また,これらの結果をブロック非干渉制御問題に応用し,その問題が解けるための必要十分条件を求めた。以上の成果を,計測自動制御学会論文集(1992年第28巻)およびシステム制御情報学会論文誌(1993年第6巻)に公表し,第36回システム制御情報学会研究発表講演会(1992年5月)および第15回Dynamical System Theoryシンポジウム(1992年12月)において発表した。現在,上で得られた成果を計算機を用いて求めるために,数式処理システムMAPLEを利用した計算システムを構築中である。
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