1992 Fiscal Year Annual Research Report
変動荷重下における鋼材の応力一歪応答と疲労被害度との相関に関する研究
Project/Area Number |
04650393
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 康光 大阪大学, 工学部, 教授 (30029251)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 聖史 大阪大学, 工学部, 助手 (50183554)
船木 俊彦 大阪大学, 工学部, 教授 (90029174)
|
Keywords | 応力-歪線図 / ヒステリシス・エネルギ / 溶接熱サイクル材 / 繰返し荷重 / ランダム荷重 / 疲労強度 |
Research Abstract |
軟鋼、高張力鋼、TMCP鋼、ステンレス鋼の母材及びそれらの溶接時の熱覆歴を再現した溶接熱サイクル材の丸棒平滑試験片に定荷重繰返し荷重を負荷し、繰返し中の応力-歪応答を計測したそして繰返し荷重中の応力-歪曲線、ヒステリシス・エネルギなどを求めた。その結果、静引張り試験で得られる応力-歪曲線と初期降伏応力を超えた荷重を負荷した場合の繰返し荷重中の応力-歪曲線を比較すると、後者が軟化する鋼材(軟鋼、高張力鋼、TMCP鋼の母材)と後者が硬化する鋼材(ステンレス鋼と上記鋼材の溶接熱サイクル材)とが得られた。また、指数分布ランダム荷重下での繰返し中の応力-歪曲線も求めた。その結果同じ応力値に対する歪値は一定値とはならずある範囲に分布すること、その分布範囲も異なること並びにそれらは定荷重繰返し中の応力-歪曲線とも一致しないことを得た。同様に繰返し荷重中の応力-ヒステリシス・エネルギの関係も応力-歪曲線と同じ傾向にあることを確認した。 次に、定荷重疲労試験結果と繰返し中の応力-歪曲線との相関を考察した。その結果、疲労強度は静引張り試験での応力-歪曲線(降伏応力加工硬化係数など)ではなく、繰返し荷重中の応力-歪曲線に支配されることが判った。そして、疲労強度の観点から有利な材料は、当然のことながら、繰返し荷重中の応力-歪応答において降伏応力が高く、加工硬化係数が大であることが判った。降伏応力と加工硬化係数では、降伏応力が疲労強度に対しより支配的であること、さらには加工硬化係数と疲労強度線図(S-N線図)とは相関があり、加工硬化係数が大であるとS-N線図の傾きがより緩やかになり、応力を少し減少すると極めて長寿命となり、疲労設計上は、使用し易い材料といえることなどが判明した。
|