1992 Fiscal Year Annual Research Report
塩害を受けたコンクリート構造物の耐荷力評価に関する研究
Project/Area Number |
04650421
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
丸山 久一 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30126479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 敬二 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (50143813)
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Keywords | 塩害 / コンクリート構造物 / 耐荷力 / 電食試験 / 鉄筋の発錆 / ひび割れ / 付着劣化 / たわみ性状 |
Research Abstract |
今年度の研究計画として、(1)鉄筋の発錆量とコンクリートはり供試体表面に現れるひび割れ幅との関係の定量化、および(2)鉄筋の発錆量とコンクリートはり供試体の静的耐荷性状を実験的に検討することとした。 先ず、鉄筋を発錆させるについては、電食試験によることとし、積算電流量を制御することで、鉄筋の発錆量を変化させることとした。既往の研究によると、積算電流量と鉄筋の発錆量との関係は、ファラディーの法則により線形関係があることが認められている。その際、比例定数はコンクリート配合、かぶり厚、配筋状態、養生状態等、各種の因子の影響を受けると考えられるが、これまでの研究をもとに、本実験供試体と似ている実験結果を参照して、この比例定数を定めた。 次に、断面が20×30cm、長さ250cmのコンクリートはり供試体を作製し、主筋に通電する電食試験により鉄筋の発錆を促進させた。はり主筋としては、SD295AでD19の鉄筋を2本配置し、20cm間隔でD10のスターラップを配置した。ここでの主たるパラメータは、通電時間を0〜28日と変化させた積算電波量、および主鉄筋の継手(重ね継手、フック付き継手)の有無である。供試体は全9体作製した。 実験結果について述べると、研究計画の(1)については、既往の小型供試体と異なり、本供試体では、主筋に沿った縦ひび割れは、底面のみならず、側面にも発生し、しかも、鉄筋の全長にわたって一様とはならなかった。平均的に見ると、既往の小型供試体に比べ、積算電流量に対して小さいひび割れ幅となっていた。次ぎに、(2)の耐荷性状については、鉄筋の発錆は、低荷重レベルでははりの剛性を増加させるが、発錆による縦ひび割れ幅が大きくなると最大耐力を低下させる。ただし、本実験では、スターラップの拘束効果もあり、縦ひび割れ幅が1mm程度であっても、耐力低下は10%程度でしかなかった。
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