1992 Fiscal Year Annual Research Report
物質循環を考慮した山林の汚濁負荷流出モデルに関する研究
Project/Area Number |
04650462
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
河原 長美 岡山大学, 工学部, 助教授 (90093228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國松 孝男 滋賀県立短期大学, 農業部, 教授 (10074064)
前野 詩朗 岡山大学, 工学部, 助手 (20157150)
名合 宏之 岡山大学, 工学部, 教授 (00034348)
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Keywords | 山林 / 汚濁負荷流出モデル / タンクモデル / 雨水流出 |
Research Abstract |
本研究で得られた成果は次の通りであった。 (1)山林からの汚濁物の流出特性の整理と検討については、複数の山林における降雨流出特性を、汚濁物質の形態別に整理すると共に、流出汚濁負荷量と降雨量との関係を定量的に整理した。この結果、溶解性物質と懸濁性物質とでは、流出特性が異なるだけでなく、リン、窒素、COD、ミネラルのそれぞれで流出特性、が異なることが明かとなった。また、年間汚濁負荷流出量については、年間の総降水量よりも降雨強度の強い降雨の回数の方が影響が大きいことが明かとなった。 (2)山林からの雨水流出モデルについては、6mm-180mm程度の範囲内の5回の降雨事象を、近年の知見であるパイプフローと、土壌浸透能の表現の改善により、同一のタンクモデルで再現できるようになった。また、山林からの降雨流出特性は、流域全体からの降雨流出とは異なる点も多いことが判明した。 (3)以上の成果に基づいて、山林からの汚濁負荷流出モデルの定式化を、山林土壌、樹木を含む生態系を考慮して行った。なお、モデル化に際して、土壌の組成を分析し、流出水の水質と土壌組成との関連について検討を加えた。また、文献考察により、山林の役割を考察したが、山林改変の水質に及ぼす影響が必ずしも同一でないことにより、山林生態系に踏み込んだ、流出機構に関するより多くの知見が必要とされていることが判明した。 今後の課題として、山林内での水質形成のメカニズムのより詳細な把握と、これに基づく汚濁負荷流出モデルの改良、並びに、山林改変や酸性雨による土壌の組成変化とそれに伴う汚濁負荷流出機構の変化に関する検討が必要とされる。
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