1992 Fiscal Year Annual Research Report
扇状地性河口デルタ海岸の形成と縮小過程に関する研究
Project/Area Number |
04650470
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
芝野 照夫 福井工業大学, 工学部, 助教授 (40027264)
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Keywords | 海岸変形 / 海浜過程 / 砂浜海岸 / 海岸侵食 / 海面変動 / 扇状地 / 三角州 / 河口デルタ |
Research Abstract |
本年度は天竜川下流部における扇状地性デルタの形成と河口付近の海岸変形を取り上げて研究を行った。この研究対象領域は扇状地と三角州両者の特徴を有するところで、わが国の大河川河口部に広がる大規模砂浜海岸のに共通する特性を持っていることから選定した。 扇状地海岸の形成は、洪積期の海面変動と関連して旧扇状地の堆積土砂を侵食し、その侵食面上に現在の扇状地が形成され、その扇端は現在の河口より沖合いに位置していること。この扇状地を形成した土砂の堆積は、平均的に年約5×10^5m^3以上の天竜川からの流送土砂が有り、扇状地と河口部沿岸の砂浜海岸を形成したものと考えられる。 歴史時代における河口部海岸については、縄文時代の貝塚の分布から現在の標高約20m付近まで湖状の低湿地であったものが、河口から排出される土砂の堆積とその後の海面低下によって次第に砂浜海岸へと形成されてきたことが明かとなった。この様な沿岸部の砂浜地形の形成過程において、1707年の宝暦大地震において沿岸部の砂州地形が大きく変化したことなどが明かとなった。 一方、最近における海岸の変化については、河口付近のデルタの縮小が顕著となり、それは天竜川からの流送土砂の減少だけではなく、突出したデルタ地形の有する宿命的なものであることを指摘した。 以上のように、地質時代からの河口部海岸の変形について堆積土砂の分布と量を明らかにし、また、沿岸部の変形については、歴史時代における資料から長期的な変化過程を明らかにすることができ、最近の海岸変形に結びつけることができた。
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