1992 Fiscal Year Annual Research Report
主要幹線道路周辺から住宅地域へ流入する高密度浮遊粉塵の流れの可視化に関する研究
Project/Area Number |
04650494
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
斉藤 保典 信州大学, 工学部, 助教授 (40135166)
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Keywords | 都市大気 / 環境保全 / 浮遊粉塵 / 可視化 / レーザ・リモートセンシング / 幹線道路 |
Research Abstract |
都市衛生および都市大気環境保全の立場から、大気中浮遊粉塵の動的実態(発生から移流・拡散・漂着まで)を把握することを目的として、特に主要幹線道路付近から住宅域へ流入する浮遊粉塵の流れを“可視化"し、動画像情報として再現させるための基礎研究を行っている(平成5年度継続予定課題)。 まず、大気浮遊粉塵観測用レーザ・リモートセンシングシステムの開発および製作を行った。システムは、レーザエネルギー2.5mJ、パルス時間幅20ns、繰り返し10ppsのレーザ光源、干渉フィルター付45cmφ受信望遠鏡、高感度光検出器、50nsサンプリングトランジェントレコーダ、およびLAN化された計算機システムより成る。本システムを用いた場合の最大観測可能距離の理論解析を行った結果、S/N=10の条件で水平方向距離5kmまでの観測が可能であることが示された。掃引型にすることで10km周辺の大気観測を行うことができる。 システムを用いて実際に観測を行った。レーザー光を水平方向に射出し、大気中エアロゾルより散乱された受信信号より、粉塵濃度を“可視化"するための実験が行われた。可視化用プログラムの開発も並行して行われ、受信信号(距離-角度座標)を座標変換し、二次元マッピングとして新たに展開して再表現可能なプログラムが作製された。 解析結果より、交通量の多い国道19号線と市内主要幹線道路に沿った領域で、高濃度のエアロゾルが存在していることが明らかになった。この現象は、特に冬季に顕著であり、高海抜盆地(長野市)に特徴的な現象と予測された。 大気浮遊粉塵“可視化"のためのハード及びソフト技術は、ほぼ完成した。今後は観測回数を増し、種々の大気(気象)条件下においてデータの蓄積化を計り、大気保全のためのデータベース化を検討していく。
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