1993 Fiscal Year Annual Research Report
廃水中の非極性微量有害化学物質のコアレッシングろ過による除去
Project/Area Number |
04650496
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松井 三郎 京都大学, 工学部, 教授 (90092808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 春美 京都大学, 工学部, 助手 (40089123)
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Keywords | 水田除草剤 / ヘキサン吸着樹脂 / 水溶解度 |
Research Abstract |
発泡ポリプロピレンにn-ヘキサンを吸着させた「ヘキサン吸着樹脂」を農薬処理用の吸着剤として用いることを試み、水田除草剤中の8種類の農薬についてヘキサン吸着樹脂に対する吸着性の検討を行った。以下に得られた知見を挙げる。 1.フミン質によって農薬の活性炭に対する吸着性は低下することが示されており、水田においてはフミン質の濃度も高くこの影響はさらに大きいと考えられた。しかし、田面水中の農薬の濃縮に用いたBond Elut(C18)に対して、n-ヘキサン、メタノールの順で溶媒回収実験を行ったところ、n-ヘキサン回収液にはごくわずかの量のフミン質しか含まれていなかった。従って、フミン質はn-ヘキサンにほとんど溶解しないことが分かり、よってヘキサン吸着樹脂は、フミン質の影響を受けないと考えられる。 2.ヘキサン吸着樹脂に対する農薬の吸着平衡関係はFreundlich式により整理され、ヘキサン吸着樹脂に対する吸着量はn-ヘキサンへの溶解度の低い2種類の農薬を除いて水溶解度の低い農薬ほど大きくなる傾向を示した。 3.n-ヘキサンへの溶解度の低い農薬を除いた6種の農薬について、粒内拡散律速下における農薬濃度の経時変化を測定し、吸着量基準の粒内有効拡散係数を算出した。その結果、おおむね水溶解度の低下にしたがって、粒内有効拡散係数も減少していくことが分かった。従って、ヘキサン吸着樹脂に対する農薬の吸着速度は、おおむね水溶解度が低下するにつれ減少することが分かった。 以上より、ヘキサン吸着樹脂による水田農薬の吸着処理は、n-ヘキサンに対する浴解度の小さい農薬を除き、水溶解度の小さい農薬に対して有効な方法であると考えられる。
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