1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いた生物学的硝化脱窒素プロセスの微生物評価方法に関する研究
Project/Area Number |
04650499
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
石橋 良信 東北学院大学, 工学部, 教授 (10111246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 銀朗 東北学院大学, 工学部, 助教授 (80194033)
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Keywords | 硝化細菌 / DNAプローブ / 16SrRNA / かび臭 / 塩基配列の決定 / 2-methylisoborneol / Camオペロン |
Research Abstract |
上水道における生物処理では、アンモニア性窒素を除去することが主たる目的になっている。この際、同時にかび臭物質も除去される現象が認められる。実験では、前年度使用した硝化菌Arthrobacter globiformisを用いてかび臭物質の1つである2-methyliso-borneol(2-MIB)の除去能の有無を調査した。その結果、Arthrobacter globiformis単菌にはかび臭分解能がないことが判明し、他の硝化菌もしくは生物処理槽内の微生物混合系で除去がおこなわれていることが推測された。ここで、硝化菌に限定せず、同様に生物処理槽内に多数存在するPseudomonas属、Flavobacterium属を用いてかび臭の分解を検討した。その結果、両菌株は分解能を有することが知れ、かつ同じ塩基配列を持つプラスミドが確認された。また、これらプラスミドをプローブにサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、染色体上にも同様な遺伝子がコードされていることが知れた。さらに、2-MIBはイソプレノイズ化合物のテルペンであり、カンファーと類似の化学的立体構造を有しているので、カンファーを分解するCamオペロンを作用させての分解を試みた。その結果、Camオペロンはカンファーのみならず2-MIBも分解し、類似の分解酵素が関与していることが示唆された。かつ、Camオペロンはそれぞれに役割をもついくつかの遺伝子群からなっているが、Camオペロンすべてが揃っていなければ分解能が発現しないこともわかった。一方、前年菌株の特異的塩基配列部分を検索するために用いた16SrRNAは、かび臭産生微生物の系統発生的分類に適用し、分類上の効力を発揮した。
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