1992 Fiscal Year Annual Research Report
鉄節に錆が生じたRC柱の耐力および靭性の劣化に関する実験的研究
Project/Area Number |
04650528
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森下 陽一 琉球大学, 工学部, 助教授 (90091339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 義智 琉球大学, 工学部, 助手 (80220416)
|
Keywords | 鉄筋腐食 / 電食法 / 積算電流量 / 付着応力度 / 耐力の劣化 |
Research Abstract |
塩害などにより鉄筋が腐食したRC構造物は、コンクリートのひび割れ、付着力の低下、鉄筋断面積の減少などの影響によって、健全な場合に比較してその力学的性状が劣化することが考えられる。そのため、本研究では電食法により鉄筋に人工的に錆を発生させたRC試験体に繰返しせん断力を載荷する実験を行い、その耐力および靭性などの比較検討を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 (1).電食による鉄筋の腐食量は、通電した積算電流量に比例する。ただし、同じ腐食量を生じるまでに要する積算電流量の値は、コンクリートの種類やかぶり厚さ、鉄筋の表面積などの違いにより異なる。 (2).鉄筋に錆が生じてもかぶりコンクリート部分にひび割れが生じない程度の腐食量の試験体は、健全な試験体とほぼ同様の力学的性状を示し、また付着応力度もかなり大きいことがわかった。 (3).鉄筋の腐食量が大きくなると、コンクリートに鉄筋に沿ってのひび割れが拡がっていき、そのひび割れ幅も大きくなる。このような試験体の鉄筋とコンクリートの間の付着応力度は、健全な試験体に比ベて小さくなることがわかった。ただし、本実験での試験体は付着長さが大きかったため、この小さい付着応力度でも鉄筋は降伏応力度に達する程度までになった。そのため、鉄筋の腐食量が大きい試験体の場合も、その耐力は健全なものに比較してそれほど低下していない。 (4).鉄筋の腐食量の大きい試験体は、変化量が大きくなるほどあるいは繰返し載荷の回数が増えるほど、健全な試験体に比較して抵抗力が小さくなる。したがって、本実験においては鉄筋の腐食の影響が、耐力よりも靭性の面により顕著にあらわれたと考えられる。
|
Research Products
(1 results)