1992 Fiscal Year Annual Research Report
住環境の形成過程における建築協定の活用方策と合意形成システム
Project/Area Number |
04650557
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 克彦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (10115983)
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Keywords | 建築協定 / 住環境 / 合意形成 / 住民参加 / 環境保全 / 環境誘導 / まちづくり / 住宅地計画 |
Research Abstract |
本研究は,住民合意をふまえない建築協定制度の諸問題や協定の定着状況を把握した上で,建築協定を有効に活用するための方策や合意形成活動などの手法を明らかにするものである。初年度は建築協定制度の運用状況や建築協定地区の実例調査について重点的に行い,住環境の空間的特性と協定内容との対応実態を分析した。本年度に明らかにした研究内容は,主として次のとおりである。1.都市計画法や建築基準法の改正に伴う用途地域制の詳細化に対応した建築協定の活用方策を検討するために,主要な自治体での建築協定や地区計画等の事例収集を行い,市街地の形態別に運用状況や制限内容の特徴を把握した。そして,制度の適用事例は確実に普及していたが,制限内容については住環境の多様化には充分に対応していない傾向が見られた。2.建築協定制度等の実効性について把握するために,建築協定や地区計画が締結された住宅団地の実例調査を行い,住環境の空間構成的特性と制限内容との対応実態を分析した。その結果,建築物の規模,位置,用途等については大半の地区で対応していたが,景観形成に重要な建築意匠,付属建築物の形態等については,空間構成の特徴と制限内容とが充分に対応していない地区が多く見られた。3.住環境の保全・誘導に対する合意形成の方策について検討するために,ライフスタイル用語,流行語から現代のライフスタイルの傾向を把握し,ライフスタイルの個人化という流れが見られた。また,先進的なまちづくりの事例を収集し,その特徴を分析した結果,住環境を計画的に誘導していくめには,制度運用のみでなく,異なった世代間の交流を強化するような企てやCIのようなイメージ戦略も必要であることがわかった。
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[Publications] 鈴木 克彦: "建築協定地区の住環境形成過程における保全・誘導手法に関する研究-住環境構成と協定内容の対応実態-(発表予定)" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 33. (1993)
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[Publications] 鈴木 克彦: "「建築協定」の運営とまちづくり" (株)鹿島出版会, 188 (1992)
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[Publications] 鈴木 克彦: "住環境の誘導過程における建築協定の活用方策と合意形成手法に関する研究(出版予定)" (財)第一住宅建設協会, 80 (1993)