1992 Fiscal Year Annual Research Report
近代経済社会の成立基盤として捉えた近世城下町の都市構造に関する研究
Project/Area Number |
04650575
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
宮本 雅明 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (80128115)
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Keywords | 近世城下町 / 町人地 / 城下町形成 / 空間構成 / 社会構成 / 城館 / 市町 |
Research Abstract |
近世社会を経済面で実質的に支えた近世城下町が、市場経済を基本とする近代経済社会を導く基盤を形成したとの視点に立ち、日本の近世城下町の空間構成と社会構成、それを支える都市理念と社会経済システムを把握するとともに、これらをヨーロッパにおける近代経済社会の骨格を生み出したオランダの諸都市と比較考察することによって、近代経済社会の成立基盤として機能した日本近世城下町の都市構造の存在形態を明らかにすることを目的としている。本年度は、日本の近世城下町の形成過程、城下町の全体構成、町地の町割と宅地割、武家地の宅地割と住空間、城下の町と町家などに関わる都市図の作成・解説を通して、城下町の空間構成・社会構成に関する研究の到達点を整理・確認する作業を行なうとともに、近世城下町の形成過程に着目し、在地に成立した市町と領主城館の周囲に成立した領主直属の商人・職人の町から成る二元的構造が社会的・空間的に統合され、一元的な構造の町地を形成し、城を中心とした武家地とともに近世城下町を形成する過程について、82の城下町を取り上げて類型区分を試み、(1)市町が城館の下に吸収されることによって城下町が形成される市町吸収型、(2)在地の市町に城館が吸収される城館吸収型、(3)市町と城館がそれぞれ別の場所に移動・吸収される現地集合型、(4)城館と市町の緩やかに統合された城下町を移動しつつその統合を固める城下町移動型の4類型に分けられることを明らかにした。これら城下町の形成過程に関する類型区分と町地の空間構成・社会構成との対応関係については、次年度において詳細な検討を行ないたい。一方、オランダ諸都市に関する資料収集は、Simon Stevenの著作のうち、城塞と都市に関する部分を入手した。これらの詳細な検討も次年度の課題としたい。
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Research Products
(1 results)