1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千田 佶 東北大学, 工学部, 教授 (10005499)
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Keywords | 方解石 / 弱酸性域 / 溶解速度 / リン酸イオン / 境膜 / 緩衝作用 |
Research Abstract |
本年度は弱酸性域における方解石の溶解速度に及ぼす緩衝剤の作用について検討した。天然水中の緩衝剤としてはリン酸などがあり、その濃度は平均10^<-7>mol/l程度である。しかし、生活排水などによりその濃度が10^<-6>mol/l付近に、あるいは局所的にさらに高い濃度になるため、そのような場合、いわゆる富栄養化などの問題を引き起こす可能性がある。本研究では、土壌や湖沼堆積物中に含まれる主要鉱物の一つである方解石が、弱酸性領域において引き起こす様々な現象を検討することで、地球規模の炭素循環において炭酸塩岩とリン酸イオンの密接な関わりについて検討した。以下に得られた知見をまとめる。 (1)pH5においてリン酸イオン濃度が10^<-3>mol/l以上では方解石の溶解速度が大きくなる。 (2)pH5においてリン酸イオン濃度が10^<-5>mol/l以上ではリン酸の化学吸着により方解石の溶解速度が小さくなる。 (3)方解石の溶解は水素イオンおよびリン酸イオンの拡散に支配される。 (4)リン酸と同様の緩衝作用を持つと考えられるフタル酸を添加することにより、溶解速度の水素依存性は大きくなる。これは固液境膜におけるフタル酸の緩衝作用による。 なお、上に述べた(1)もリン酸の境膜内の緩衝作用によるものと考えられる。
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[Publications] 上村弘之他: "方解石の溶解速度に及ぼすリン酸イオンの影響" 資源地質. 43. 19-19 (1993)
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[Publications] 新堀雄一他: "弱酸性域における方解石の溶解モデル" 三鉱学会学術講演会講演要旨集. 105-105 (1993)
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[Publications] 上村弘之他: "方解石の溶解速度に及ぼすリン酸イオンの影響" 資源地質. 44(印刷中). (1994)