1992 Fiscal Year Annual Research Report
抽出剤担持ポリマーによる希土類金属の高度分離に関する研究
Project/Area Number |
04650591
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
芝田 隼次 関西大学, 工学部, 教授 (70067742)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 誠 関西大学, 工学部, 助手 (00170811)
西村 山治 関西大学, 工学部, 教授 (30067467)
|
Keywords | 抽出剤 / 担持ポリマー / 含浸樹脂 / 希土類 / 分離 / 精製 |
Research Abstract |
今年度の研究計画にしたがって,抽出剤担持ポリマーの作成法の確立とこのポリマーによる希土類成分の吸着平衡および吸着速度が研究された。 抽出剤担持ポリマーの作成は,抽出剤PC-88Aをクロロホルムにて希釈し,同重量の多孔性樹脂(Amberlite XAD-7)と混合静置して樹脂に抽出剤を含浸させた後に,クロロホルムを留去して行うことができる。抽出剤の樹脂への担持率は50%程度までは可能であり,吸着試験には担持率50%のポリマーを使用した。抽出剤担持ポリマーによるLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Hoの10種の希土類の吸着平衡を調べ,つぎの結果を得た。これらの希土類の吸着はpH0.5〜2.0の間で起こり,重希土類は軽希土類よりも低いpHで吸着されることがわかった。各希土類の吸着率とpHの関係を示す曲線は極めて近接しており,バッチ吸着法で希土類の分離を行うことが不可能であり,カラム法によらないと希土類の分離はうまく行えないように思われる。ここで得た各希土類の吸着率とpHの関係は,この抽出剤PC-88Aを溶媒抽出法として使用したときに得られる抽出率とpHの関係と類似しているので,抽出剤担持ポリマーの化学的性質が担持させた抽出剤の性質によって特徴づけられることがわかる。次に,抽出剤担持ポリマーによる希土類の吸着速度を調べた。希土類の吸着は,ポリマーと希土類を含む水溶液を振〓させる条件では,希土類の種類に係わらず10分で80%の吸着が起こり,60分以内で吸着は平衡状態に到達する。このような速い吸着速度は,通常のイオン交換樹脂による吸着速度と同じ程度であって,抽出剤担持ポリマーをカラムに充てんして使用する際に,全く問題を生じない吸着速度である。 以上の結果が今年度の研究成果として明らかにされた。
|