1992 Fiscal Year Annual Research Report
塑性変形した金属・金属間化合物の結晶粒界における融解
Project/Area Number |
04650600
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
猪子 富久治 徳島大学, 工学部, 教授 (50029104)
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Keywords | 粒界の予融解 / 再結晶 / 刃状転位の集積 / らせん転位の集積 / 粒界 |
Research Abstract |
これまで、30%の引張変形した銅双結晶および多結晶ニッケル、黄銅の結晶粒界がそれぞれのバルクの融点の半分に近い低い温度で融解することを示してきた。 平成4年度は、引続き粒界において弾性的に等方な銅双結晶をブリッジマン法で作製し、引張変形を与えたときは、予融解を生じるが、ひずみを与えない場合は粒界は予融解しないという知見をえた。 さらに、同一銅双結晶より、粒界が引張軸に平行・垂直・30度傾斜の試料を切り出し、それぞれ、30%の引張ひずみを加えて、粒界近傍の活動すべり系を変化させた場合の粒界近傍の再結晶のしやすさと薄膜の粒界の予融解温度との関係を求めた結果、バルク材の双結晶の粒界で再結晶しやすく、広い領域の再結晶が生じる粒界は、薄膜では予融解温度がより低温で生じる結果をえた。 なお、先の報告と同様に、主にらせん転位の集積した粒界が<111>軸回転の再結晶粒が生じやすく、より低い温度で予融解が生じ、一方、主に刃状転位が集積した粒界はひずみ誘起粒界移動で再結晶しやすく、予融解はより低い温度で生じたり、融けなかったりする。 また、現在、金属間化合物Ni3A1を帯溶融法で作製し、ECP法で方位解析し、引張変形を与え、薄膜の作製段階に入っている。 さらに、亜鉛、鉛、銀の双結晶を作製中である。平成5年度はこれらの試料を用いて予融解の実験を行っていく。
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