1993 Fiscal Year Annual Research Report
不均化反応法による機能性Crセラミックス皮膜の生成に関する研究
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04650615
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
興戸 正純 名古屋大学, 工学部, 助教授 (50126843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市野 良一 名古屋大学, 工学部, 助手 (70223104)
沖 猛雄 名古屋大学, 工学部, 教授 (30023039)
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Keywords | 溶融塩浸漬法 / クロム化合物皮膜 / 不均化反応 / セラミックスコーティング / 耐摩耗性 / 窒化クロム |
Research Abstract |
窒化処理鋼材への溶融塩中不均化反応を用いたCrの溶融塩浸漬法によるCr窒化物皮膜生成に関し以下の結論を得た。 1.浸漬法により生成した皮膜は,Cr窒化物/Fe-Cr固溶体複合皮膜であった。窒化物としてはCrN,Cr_2Nの2種類が認められたが,クロム処理温度や鋼材中の窒素濃度によりその存在比が変化した。 2.被覆量はクロム処理時間の増加とともに増加した。 3.クロム拡散浸透にはNaF,CrF_3,フェロクロムの3者の共存が必要であり,溶融塩不均化反応の支援により進行するものと確認された。 4.皮膜硬度は1300Hvを超え,3,000Hv以上を示す場合もあった。 5.クロム拡散浸透処理により耐食性も向上した。 一方、Cr-Si複合皮膜形成とその皮膜特性を調査した結果次のようにまとめられる。 6.皮膜中の元素,Cr,Siが鋼材試料中には存在しなくても,不均化反応を用いて2段階処理によって基板上にCrSi_2が生成できた。 7.主要生成物はCrSi_2であり、SiCもわずか存在する。処理温度と処理時間が増加するにつれて皮膜生成量は増加し,過剰処理ではSiが侵入して皮膜中にFeSiもできる。皮膜は高い表面硬度(2200Hv〜2500Hv)を示した。耐摩耗性,耐孔食性も良好であった。 8.母材に存在しない元素でも様々なセラミックスや合金皮膜を不均化反応を用い多段階処理によって基板上に形成することが可能であると考えられる。
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[Publications] 沖猛雄: "溶融塩不均化反応を用いたクロム窒化物/鉄-クロム固溶体複合皮膜の生成とその材料特性" 資源・素材学会誌. 108. 863-867 (1992)
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[Publications] T.Oki: "Formation of Chromium Silicide Films on Steel by Disproportionation Reaction in Molten Salts" ISIJ International. 33. 1023-1028 (1993)
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[Publications] 沖猛雄: "高温金属化学的手法による表面改質-溶融塩不均化反応を中心として-" 日本金属学会誌. 32. 29-37 (1993)