1992 Fiscal Year Annual Research Report
湿式法によるスクラップからの銅およびニッケルの回収
Project/Area Number |
04650620
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河原 正泰 熊本大学, 工学部, 助教授 (60145282)
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Keywords | スクラップ / リサイクル / 銅 / ニッケル / アンモニア浸出 / メタルロンダリング |
Research Abstract |
軟鋼棒に銅線を巻き付けて作成した模擬スクラップならびに実際のニッカド電池スクラップをアンモニア性水溶液で浸出し、銅、ニッケルおよび鉄の溶解性に及ぼす浸出条件の影響を検討した。用いた浸出溶液は、アンモニア-炭酸アンモニウム混合水溶液ならびにアンモニア-硫酸アンモニウム混合水溶液である。また、酸化剤の効果をみるため、過酸化水素添加-酸素ガス吹き込み、または硫酸銅添加-酸素ガス吹き込みを行った。 アンモニア-炭酸アンモニウム混合水溶液で模擬スクラップを浸出すると、酸素ガス吹き込みを行っても、過酸化水素を添加しない限り、銅の溶解はみられなかった。過酸化水素は浸出初期における銅の溶出ならびに鉄の不動態化に効果的であり、酸素ガスは銅の溶出率の向上に効果があると判断された。銅の溶出速度は溶液中のアンモニウムイオン濃度に大きく依存し、アンモニウムイオン濃度の高い溶液を用いると、酸化剤の併用により、約1.5時間で銅はすべて溶解した。なお、いずれの場合も鉄の溶解は無視できる程度であった。 ニッカド電池スクラップの湿式処理では、酸化剤として過酸化水素を用いても、ニッケルの溶解はみられなかった。過酸化水素の代わりに硫酸銅を添加すると、ニッケルが約80%まで溶解するようになった。酸素ガス吹き込み速度やアンモニウムイオン濃度の影響は、模擬スクラップからの銅の回収の場合とほとんど同じであった。 いずれの場合も目的金属の溶解速度は溶液中での試料の回転速度に依存し、本反応が境膜内物質移動律速であることを暗示していた。模擬スクラップ処理で得られた溶出液の銅濃度は30g/L以上、ニッカド電池スクラップ処理で得られた溶出液のニッケル濃度は約50g/Lであった。本反応は反応速度が遅いという欠点はあるが、鉄に対する目的金属の選択浸出性が抜群なため、実際のスクラップ処理に応用できると考えられる。
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