1993 Fiscal Year Annual Research Report
凸面形状工具による自由鍛造における延性の規準と限界
Project/Area Number |
04650624
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
守時 一 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (60005246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 栄樹 秋田大学, 鉱山学部, 助手 (80177188)
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Keywords | 鍛造 / 延性限界 / 塑性不安定 / 成形限界 / 局所くびれ |
Research Abstract |
近年,薄板の冷間鍛造により,加工部の降伏強度を増加させる加工がなされ,これによりばね特性の向上が図られている.そこでは,加工部とその周辺部分との間で極端な強度の不連続を避けるために,凸面形状の型工具が使用されている.この種の自由鍛造の一例として,円筒状工具を用いた板の鍛造をここでは考察した.変形解析の結果,工具の素板拘束域は加工過程の中期から減少に転じ,従来の自由鍛造のそれと大きく様相を異にしていた.スラブ法による応力解析の結果と有限要素法による結果とを比較することで,この種の板鍛造の応力解析にスラブ法は第一近似として十分高い信頼度を備えていることが分かった.加工の終期における変形状態は,とくに素板中心部において,初期,中期のそれと大きく傾向を異にしていることから,加工の終期に遭遇する延性破壊の危険性を回避するには注意深い考察が必要である. 延性破壊に関して,著者らはこれまで変形論の立場から独自の規準を提唱してきた.これは薄板の塑性不安定に関する,Swiftの拡散くびれの規準とStoren&Riceの局所くびれの規準を修正し,一般化したものである.ここではこの規準を,本研究の自由鍛造の加工限界予測に適用した.ばね特性の高い金属材料として,高力アルミニウム,燐青銅,ステンレス鋼を採用したが,本解析で用いた応力解析の適用範囲内と考えられる状態で延性破壊が発生したのは高力アルミニウムのみであった.スラブ法による応力解析と有限要素法によるそれを用いて,解析的に予測した破壊ひずみは互いに良い一致を見た.これに対して,実験では幾分高めの破壊ひずみが実測されたが,これは破壊発生後にもたらされた付加変形を受けたことによる影響であると考えられる.
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