1992 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアロイング鋼の組織制御に関する熱力学的解析
Project/Area Number |
04650641
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大谷 博司 東北大学, 工学部, 助手 (70176923)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 泰二 東北大学, 工学部, 教授 (60005212)
|
Keywords | マイクロアロイング鋼 / 状態図 / 相平衡 / オーステナイト / 組織制御 / IF鋼 / 炭窒化物 / 合金設計 |
Research Abstract |
本研究は、通常の実験手段によって作成することが非常に困難であるマイクロアロイング鋼の状態図を、実験と熱力学的解析により構成し、各微量元素が及ぼす様々な効果を明確にし、マイクロアロイング鋼の組織制御の基礎を確立することを目的としており、平成4年度においては次のような研究成果が得られた。 1.これまでその溶解度がきわめて小さいことから実験的に確立されていなかったオーステナイトに対するTiNの固溶度を、固体拡散対法を用いて測定した。この実験では特に、試料作成時の酸素の混入が実験結果に大きな影響を及ぼすと考えられたので、窒化物の固溶度に対する影響の少ない炭素を用いて脱酸するなど、実験条件の向上に努めた。その結果、従来の報告値の下限に近い溶解度積が得られた。 2.(Nb,V)(C,N)、(C,Ti)(C,N)各系の複合炭窒化物を鉄基質中の析出させ、それを化学的に抽出分離、分析することにより、炭窒化物中での2相分離を実験的に確認した。その結果、各擬2元系には2相分離の出現しないこれらの炭窒化物中においても、組成領域の中央部に閉じた2相分離領域が現れることなどが確認された。 3.実験的に得らた2相分離の相平衡データを、副格子モデルを用いて熱力学的に解析した。その結果、このような複合炭窒化物における2相分離は、たとえ各擬2元系では全率固溶する場合でも、一つの化合物が他の化合物に比べて化学的に極めて安定な場合には、広い温度範囲にわたって生成することなどが理論的に明らかになった。
|
-
[Publications] H.Ohtani: "Miscibility Gap in Transition-metal Carbonitride system." J.Alloys and Compounds,.
-
[Publications] H.Ohtani: "Calculation of Phase Equilibria between Austenite and Complex Carbonitrides in Microalloyed Steels." Metall.Trans.A,.
-
[Publications] H.Ohtani: "Calculation of V-C-N and Ti-C-N Phase Diagrams." Calphad. 17. 93-100 (1993)