1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650643
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Research Institution | Institute of Industrial Science, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
虫明 克彦 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10092347)
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Keywords | 不溶性陽極 / 耐久性 / 酸性硫酸浴 / 電気亜鉛めっき / 酸化イリジウム / 電極基体 / 導電性ガラスコート |
Research Abstract |
チタン基体酸化イリジウム電極は耐久性に乏しいことが鋼板めっき浴における対極としての実用化を阻んでいる。不溶性電極の耐久性は基体の防食と触媒の損耗防止の二つにより向上する。このような観点に立ち、本研究初年度では、基体チタンに導電性ガラスコートを行い、防食被膜としての適用性を検討した。ガラスとシリサイドの粒度分布と配合比を調整することにより、電解電流印加時におけるオーム損が1.2mV以下となるガラス被膜が得られた。さらに、沸騰する50%硫酸溶液中の浸漬試験では、従来の直接コート型電極が2.5時間で腐食するのに対し、ガラスコート型電極は50時間の浸漬に対して電極有効面積が変化せず、十分な耐食性をもつことが示された。初年度における以上の研究成果を踏まえ、最終年度では、電解による触媒損耗試験により耐久性の検討を行った。浴に溶解する有機物(光沢剤)濃度に加速倍数を掛けた定電流電解では、耐久時間は両者間で数10倍の違いが観測されるが、有機物濃度に対して両対数グラフが直線となり勾配が等しいことを示した。つぎに、有機物濃度が一定の電解では、耐久時間と塗布回数の間に、片対数グラフ上で勾配の異なる直線関係が存在しガラスコートの有効性が示された。さらにこれらの二つの関数関係を外挿すれば、所定の耐久時間を得るに必要な塗布回数の推定が可能であることを明らかにした。以上に加えて、不溶性陽極の新しい利用法の検討も行った。回収亜鉛により硫酸浴に持ち込まれた塩化物イオンを不溶性電極により酸化・除去する方法について実験と概念設計とを行った。大面積の不溶性電極と循環式電解セルを組み合わせ、700ppmから50ppmまでの除去を10分間前後で完了する電解を先行させれば、通常の電析が可能になることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 虫明克彦: "酸性硫酸塩溶液中に溶存する塩化物イオンの拡散定数と溶液粘度に及ぼす硫酸塩濃度の影響" 資源と素材. 110. 17-21 (1994)
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[Publications] 増子 昇: "電解酸化法による酸性硫酸塩溶液からの塩化物イオンの除去" 資源と素材. 109. 791-795 (1993)
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[Publications] 虫明克彦: "ガラスコートチタン基体電極の耐久性" 電気化学協会秋季大会講演要旨集. 144 (1993)
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[Publications] 増子 昇: "電解酸化法による酸性硫酸塩溶液からの塩化物イオンの除去" 第16回ソーダ工業技術討論会講演要旨集. 97-100 (1992)
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[Publications] 虫明克彦: "導電性ガラスコートによる酸素発生電極の基体防食" 第2回電極材料研究会資料. 6-8 (1992)
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[Publications] 虫明克彦: "チタン基酸素発生電極の硫酸耐食性" 電気化学協会第59回大会講演要旨集. 98 (1992)