1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650652
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高田 潤 岡山大学, 工学部, 教授 (60093259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 秀行 (財)応用科学研究所, イオン工学研究室, 室長 (90132795)
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Keywords | ナノ複合材料 / Al酸化物 / 分散強化 / 銀合金 / 電気伝導度 / 内部酸化 / ナノクラスター / 非化学量論的酸化物 |
Research Abstract |
近年、ナノメータサイズの微粒子がナノメータ間隔で分散したナノ複合材料が次世代材料として注目されている。この種の材料ではミクロ材料より一層の高性能化と、さらには新しい機能や性能の発現が期待されている。現在、金属基ナノ複合材料としては主として構造材への応用を目指し、金属基地中にセラミックス・ファイバー等を分散させて材料の高強度化を試みている。しかし、電子材料として、高強度で高電気伝導性、高熱伝導性等の特性を有した金属基ナノ複合材料の開発が強く望まれている。 そこで、本研究では電気伝導性、熱伝導性の優れたAgを基地相として選び、この銀基地相の中にA1の酸化物粒子をナノメータサイズで粒子状に分散させた場合材料の作製を内部酸化法によって試みた。作製した合金材料ではナノメータサイズ(3〜10nm)のA1酸化物粒子が析出し、合金の強度が著しく増加するとともに、電気伝導性が銀よりも同程度の値を示す高機能性ナノメータ複合材料の作製に成功した。酸化中の合金の重量測定より析出酸化物粒子の構造決定と透過電子顕微鏡観察による粒子サイズの測定より、高温、(900℃)酸化では化学量論的A1_2O_3粒子が平均粒子半径約8nmで析出するのに対して、低温(500℃)では平均粒子半径約4nmのA1‐0クラスター粒子が析出することが明きらかとなった。ここで、低温酸化で析出する超微細酸化物A1Oxは化学量論的組成X=1.5の酸化物でなく、酸素過剰酸素組成のA1‐0クラスターであること、さらに500℃では従来報告されいる値よりも酸素過剰な組成X=2.5のクラスターであることをはじめて見いだした。すなわち、この酸素過剰クラスターの生成は学術的に極めて新規で重要な知見を与えることが期待されることから、現在も詳細に検討中である。
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