1993 Fiscal Year Annual Research Report
Pb融液をTiの移送媒体に用いたTiCコーティング
Project/Area Number |
04650654
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
若松 良徳 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50039111)
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Keywords | TiCコーティング / 炭素鋼 / Pb-Ti融液浸漬法 / 成長機構 / 硬さ / 結晶学的配向性 |
Research Abstract |
Pb-Ti融液浸漬法によるTiC被膜の作製法については、すでに基礎的な検討を終えたので、本年度は被膜の成長機構、微小硬度、結晶学的配向性などを調べた。また、比較のために、炭素鋼-Ti拡散対におけるTiC形成反応についても調べた。得られた結果は次の通りである。 1.TiC被膜の成長機構・・・TiC被膜内ではC原子の拡散速度がTi原子と比べて著しく速い。そのため、TiC被膜は表面で成長する。すなわち、C原子が炭素鋼からTiC被膜中を拡散して表面に達し、そこでPb-Ti融液中のTi原子と新たな結晶格子を形成する。成長の律則過程も、皮膜内のC原子の拡散である。 2.TiC被膜の微小硬度・・・ビッカース硬さは、バルク材のTiCとほぼ同程度の3000〜3500の値が得られた。Pb-Ti融液中のTi濃度による差は認められなかったが、炭素鋼試料のC濃度が低すぎると、また加熱温度が高すぎると、ビッカース硬さが低下する傾向が見られた。 3.TiC被膜の結晶学的配向性・・・TiC被膜を構成する結晶粒は、(220)面が鋼素地に平行に配向したものが多い。このような結果が得られたのは、TiC内では(220)面に垂直な方向へのC原子の拡散速度が著しく速く、C原子の拡散速度が速い方向へTiC皮膜が成長したためである。 4.炭素鋼-Ti拡散対によるTiCとの比較・・・Pb-Ti融液浸漬法で得られるTiC被膜は炭素鋼-Ti拡散対に形成するTiCよりも成長速度が著しく速く、微小硬度も著しく高い。このような結果が得られたのは、Pb-Ti融液浸漬法で得られるTiC被膜は結晶学的な配向性が強く、濃度が化学量論的組成に近いためである。
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[Publications] 若松 良徳: "Pb-Ti融液を用いた炭素鋼へのTiC被覆" 日本金属学会誌. 57. 538-543 (1993)
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[Publications] 泉田 誠: "Pb-Ti融液浸漬法による炭素鋼へのTiCコーティング" 西日本腐蝕防蝕研究会例会会報. 32. 76-80 (1992)
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[Publications] 泉田 誠: "炭素鋼とTi(固体または蒸気)とのTiC形成反応" 西日本腐蝕防蝕研究会例会会報. 33. 56-59 (1993)