1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650657
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
太刀川 恭治 東海大学, 工学部, 教授 (40197372)
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Keywords | 金属系超伝導体 / Nb_3(Al,Ge) / 新製造法 / 高磁界 / 臨界電流密度 |
Research Abstract |
現在実用化されている超伝導線材のNb_3Snより高い磁界を発生できる材料の開発が期待されている。そこで、本研究では20テスラを越える磁界でも実用できる超伝導材料として有望なNb_3(Al,Ge)線材を、中間相のNb_2(Al,Ge)[sigma相]とNbとを反応させる新しい製法で作製した。そして微粉末化処理やMgO添加による組織及び超伝導特性の改善について研究した。試料の作製方法は、sigma相化合物Nb_2(Al,Ge)をアーク溶解により溶製した後、アルミナ乳鉢を用いて粉砕し、さらにジルコニア製容器を用いて遊星型ボールミル処理により数mum程度の粒径まで微細化し、Nb粉末と組成比Nb_<2.8-3.2>(Al,Ge)になるように混練した。その後、混合粉をNbシースに封入し、溝ロールと、平ロールを使用し中間焼鈍なしで厚さ0.4mmのテープに加工したのち熱処理を行った。また、1〜10vol%のMgO微粉末を添加した試料も作製した。 試料断面のX線回折図形では、1200℃の熱処理ではsigma相がまだ残留しているが、1300℃の熱処理を行うとほとんどA15相のピークのみとなり、1300℃で短時間熱処理を行うことにより、ほぼ均質なA15相が生成された。出発物質をボールミル処理により微細化すると線材の臨界温度Tcが約1K改善され、onset Tc 18.0Kが得られた。線材の臨界電流密度Jcも、出発物質をボールミル処理をすることにより低磁界から高磁界まで全域にわたって改善され、ボールミルを12時間かけた混合粉末を用い、1300℃×2hの熱処理後、700℃×100hの焼鈍処理を行ったテープでは、23Tにおいても2.7×10^4A/〓以上の高いJcを得ることができた。また、無添加の試料では16〜17T付近でIc値が最大になるピーク効果がみられたが、MgOを5〜10%添加した試料は21.5Tまで200A以上のIcを示し、ピーク効果が改善された。このように出発物質の微細化やMgO添加により、高磁界特性の優れたNb_3(Al,Ge)線材を新しい製法で作製することに成功した。今後、sigma相とNb粉末のメカニカルアロイングについて研究し、熱処理温度の低下をはかる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Sakinada: "Superconducting Properties and Structures of A15 Nb_3(Al,Ge) Tape Fabricated by a New Process" Adv.in Cryogenic Engr.and Materials. 40. (1994)
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[Publications] K.Tachikawa: "New A15 Nb_3(Al,Ge) tape prepared from sigma-phase powder" Cryogenics. 33. 1091-1094 (1993)
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[Publications] K.Tachikawa: "Synthesis of A15 Nb_3(Al,Ge) through the sigma-phase" Adv.in Cryogenic Engr.and Materials. 38B. 835-841 (1992)