1992 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ窒化プロセスに及ぼすイオン化と発熱効果に関する研究
Project/Area Number |
04650666
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 康夫 大阪大学, 溶接工学研究所, 助教授 (80144434)
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Keywords | プラズマ / 窒化 / イオン / 発光分光 / ステンレス鋼 / 発熱 / プローブ計測 / 拡散 |
Research Abstract |
窒化させる材料表面近傍のプラズマ状態(イオンシース状態,電位傾度等)と材料の発熱状態がプラズマ窒化プロセスに与える影響を検討するために,発光分光法とプロープ法及び熱電対温度計測法を適応し、プラズマ状態を診断した。試料近傍のプラズマ中には,イオン種として,N^+N^+_2,F^+e(試料のステンレス鋼から生じたものと考えられる),励起種としてN原子(N^*と一般に記している)が分光された。購入したコンピュータと絶縁アンプにより,インプロセスの分光計測が可能になったので,発光強度の時間的変化も測定した。プローブ計測から電位分布,電子密度等を計測した結果,プラズマによってステンレス鋼を窒化させる必要条件として,ある程度以上試料近傍における電位傾度を高めることが明らかとなった。すなわち,試料は陰極側に位置させ,直流グロー放電を印加し,すくなくとも,400V/cm程度の電位傾度(試料表面近傍)が必要であることを明らかにした。この値は,ステンレス鋼表面に存在する強固な酸化皮膜をスパッタリングして除去させるに必要な敷居値として理解できることを実験結果を基に明らかにした。この条件を満たすと,イオン種,励起種がCrやFeと窒化物を形成し窒化膜として成長していく。その際,窒素原子が母材へ拡散することにより窒化膜は成長するので,拡散を助長する発熱の効果が重要となる。プラズマの発熱効果により試料は加熱されるが,本研究で実施したグロー放電域では,試料は高々300〜400℃にしか加熱されず,膜の成長速度は非常におそいことが分った。そこで,試料を抵抗加熱する必要があることが判明した。これによって試料温度を600〜700℃にすると約2時間〜3時間で,30μm程度の良質な窒化膜が形成されることがわかった。以上のように,プラズマ窒化におけるイオン化・電位傾度,発熱の効果を系統的に明らかになった。
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