1992 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧励起アルゴルを用いる有機薄膜アナライザーの研究
Project/Area Number |
04650675
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
金子 竹男 横浜国立大学, 工学部, 教務職員 (50191987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 正彦 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40010756)
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Keywords | 有機薄膜アナライザー / 大気圧表面分析計 / 励起アルゴン |
Research Abstract |
1.薄膜アナライザー(SFA-A)では、励起アルゴン(Ar^*により試料表面をイオン化し,生成したホールによる正電場に対する電流を測定する.しかしこの表面の実際の電圧は不明であったので,試料表面に金属電極をつけ表面電圧(Vsur.)を測定できるように改良し検討した.金属試料の場合Vsur.は0であったが,有機薄膜試料においてVgの増加時よりもVg減少時の方がVsur.が高くなった.種々の有機試料で異なる曲線が得られ,これは試料の電荷の蓄積やその時間変化の割合の違いによるものと考えられた. 2.Ar^*を用いて試薬をイオン化し,この試薬イオンを試料表面に衝突させる方法(SFA-I)では得られる電流波形の起因を明らかにするために,試薬または試料を加熱することで検討した.試料を加熱した場合,得られる電流値は大きくなり,観測されている時間は短くなった.試薬の加熱の場合,電流値は低くなり,時間は短くなった.このことよりSFA-Iでの電流は試薬ホルダーからの試薬の揮発性よりも,試薬イオンー試料表面の相互作用によるものと考えられる. 3.SFA-Aで得られるVg-I曲線を半経験式で表し,そのシミュレーションをGauss-Newton法により計算を行えるようにプログラムを作成し検討した.実測曲線とシミュレーション曲線はよく一致し,9種類のパラメータ値の標準偏差は10%以下で,残差平方和は10^<-21>オーダーでシミュレーションが妥当であると判断できた.また得られたパラメータ値は試料によって異なっており,有機薄膜試料の分類に利用できる可能性がある.更にパラメータ値は,導電性などの電気的性質との比較が可能であることも示唆された. 現在Vgに印加する電圧をパルスおよび正弦波にして,導電性,電荷の移動度などの算出を検討しており,この薄膜アナライザーの有用性が明らかになると思われる.
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