1992 Fiscal Year Annual Research Report
大気粉塵の存在状態と雨水微量成分の存在状態、大気粉塵の洗浄効果に関する研究
Project/Area Number |
04650676
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
深沢 力 山梨大学, 工学部, 教授 (70023017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川久保 進 山梨大学, 工学部, 助手 (90143958)
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Keywords | 雨水分析 / 試料前処理 / 試料保存 / 蛍光分析 / 発光分析 / アルミニウム定量 |
Research Abstract |
1.雨水中のAlの状態別定量のための試料処理の検討:報告者らが開発した8-ヒドロキシキノリン-5-スルホン酸蛍光法による雨水中のAlの状態別定量を検討した。試料をそのまま定量した値を溶存Al濃度、フッ化水素酸、硝酸及び硫酸で加熱分解し定量した値を全Al濃度とし、雨水に取り込まれた大気粉塵中のAl量に相当する非溶存Al濃度をその差から求めた。Al溶液や実際試料を用いて試料処理条件を検討し、雨水試料を孔径0.45μmの膜フィルターで濾過して液、3000rpmで遠心分離した上澄液及び0.2M塩酸酸性にしたものを処理試料とした。保存の際のAl吸着損失を種々の材質の容器について調べ、ポリスチレン製容器が最も少なかったので、これを保存容器とした。 2.雨水中のAlの状態別定量値の変化:雨水を時間経過とともに分けて採取し、分析した結果から、降雨量1mm以下の初期雨水には数十〜数百ppbの溶存Alが存在し、降雨量5mm以上の後続雨水では数ppbまで減少すること、全Alも溶存Alと同様の減少傾向を示すが、その濃度は1桁程度高いことなどが分かった。また、未処理試料や酸添加試料を保存すると溶存Alが増加し、アルミニウムを含む粉塵粒子からと思われる溶出が起った。初期雨水を濾過や遠心分離すると90%以上の非溶存Alが除かれ、3日間程度保存できたが、試料のpHが5以上の場合、濾過ではアルミニウム水酸化物の生成によると思われる溶存Alの低下が起こった。後続雨水では濾過や遠心分離で80%以下の非溶存Alしか除けず、保存するとAlの溶出や損失が起こった。ICP発光分光法によりAl、Feなどを定量した結果、未処理、処理試料とも溶存Al値は本蛍光法に比べて高くなり、溶存Alと全Alの中間の値を与え、Feの定量値の変化もAlに類似していた。従って、試料前処理を避け本蛍光法のような高感度な分析法で短時間に分析することが望ましいことが分かった。
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Research Products
(1 results)