1992 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシモノ硫酸イオン酸化で生成する高エネルギー化学種を利用する新規化学発光系
Project/Area Number |
04650685
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
山田 正昭 東京都立大学, 工学部, 助教授 (10087322)
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Keywords | 化学発光 / ペルオキシモノ硫酸塩 / バナジウム / 鉄 / コバルト / 一重項酸素 / フローインジェクション法 / ミセル |
Research Abstract |
平成4年度の研究実施計画“一重項酸素の生成と化学発光(CL)反応に関する基礎的検討"は次のような検討項目から成っている。(1)CLを放出する遷移金属イオンのスクリーニング、(2)放出されるCLが一重項酸素に基づくことの確認、(3)一重項酸素と不飽和有機化合物のCL反応。各検討項目について以下に研究実績を記す。 (1)21種類の遷移金属についてバッチ法でHSO_5^-と反応させてスクリーニングを行ったところ、Co^<2+>とFe^<2+>に加え、新たにバナジウムイオン(VO^<2+>)によりCLが放出されることを見い出した。このVO^<2+>について詳細に分析化学的検討を加え、高感度フローCL定量法を確立した。検出下限、8_X10^<-8>Mはフレームレス原子吸光法の2_X10^<-8>Mよりやや劣るが、その他の分析法よりもまさっていた。Co^<2+>とFe^<2+>がCL応答を与えるので、これらの金属を含む実試料を分析するときは前処理が必要であるが、その他のイオンに対しては選択性は良好であった。 (2)CLが一重項酸素に基づくことは次の実験で確認した。・酸素ガスの発生、・増感色素の褪色実験、・増感色素のCLスペクトル測定、・消光剤による消光実験、・重水による同位体効果実験 (3)上記、CLを放出する3種の金属イオンとHSO_5^-を用いて一重項酸素を発生させ、不飽和有機化合物と反応させる実験をバッチ法で始めたところである。実験はまだ初期段階であるが、HSO_5^-/Co^<2+>系で蛍光性有機化合物が強いCLを与えることが見い出され、その高感度検出が可能であることが判明した。この系はHSO_5^-/Fe^<2+>またはVO^<2+>系と比較して系自身からのCLが弱い(すなわちバックグラウンドが低い)ので好都合である。現在、蛍光性有機化合物を含む種々の不飽和有機化合物について検討を続けている。
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[Publications] 梅林 秀年・鈴木 剛彦 増田 昭夫・山田 正昭: "ペルオキシモノ硫酸イオンの発光接触分解を利用したV(IV)イオンのフローCL定量" 第17回フローインジェクション分折講演会(講座要旨集). 3-4 (1992)
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[Publications] 林 純二郎・山田 正昭: "徴視的不均一溶液を反応場に利用するフロー化学発光計測" J.Flow Injection Anal.9. 139-163 (1992)