1992 Fiscal Year Annual Research Report
ルチル微粒子および薄膜の室温合成とその生成機構の解明
Project/Area Number |
04650710
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹本 忠 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (80016831)
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Keywords | ゾルゲル法 / チタンテトライソプロポキシド / ルチル / チタニア転移 / 加水分解 |
Research Abstract |
本年度に得られた研究成果は、以下の通りである。 1.ルチルの室温での生成条件 まず、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)の加水分解条件(酸の種類とその濃度およびH_2O/TTIP比)と加水分解生成物の熱転移温度との関係を調べた。その結果、銷酸および塩酸酸性条件下で生成したアモルファス生成物は、検討した条件下(酸の濃度:3〜7wt%、H_2O/TTIP比:5,10,20)ではすべて200℃でアナターゼに転移した。 1方、アンターゼ→ルチル転移は酸濃度が高ければ高いほど、またH_2O/TTIP比が大きければ大きいほど促進されることが判明した。再現性に問題があるものの、特に、H_2O/TTIP比が20の条件下においては、硝酸濃度7wt%以上または塩酸濃度4wt%のときに、室温付近で長さ約0.1μmの針状晶のルチル微粒子が生成した。このルチルの組成は、熱重量分析によりTiO_2・H_2Oと推定された。 2.ゾルゲル過程における熱分析の試み 加水分解生成物がどのようなゾルゲル過程で結晶化して、アナターゼおよびルチルとなるのかを調べるために、示差熱分析装置を試作して、ゾルゲル過程における反応熱の測定を試みた。 まず、TTIPと各種アルコールとのアルキル基の交換反応の熱測定を行った結果、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノールの各溶媒に対してその反応熱としてそれぞれ1.47、-0.25、0.98klmol^<-1>を得た。次に、ルチル微粒子が生成する場合の加水分解および縮重合反応を含む総括的反応熱(エンタルピー変化)の測定を行った。その結果、見かけの加水分解反応熱はTTIPと酸の濃度に依存し、1.0moldm^<-1>濃度のTTIPエタノール溶液に6wt%の塩酸水溶液を加えた場合に対し、その値として約65kj/molが得られた。
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