1992 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性錯体が創製する反応場における糖質の立体特異的変換反応
Project/Area Number |
04650759
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小山内 州一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70051828)
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Keywords | アルドース / C-2エピ化 / 自己組織化 / ミセル反応場 / 配糖錯体 |
Research Abstract |
アルドースは塩基存在下にいわゆる“エン-ジオール中間体"を経由してLobry-Alberda転移(LA転移)に基ずくC-2エピ化を行うが,Ni^<2+>-ジアミン錯体を介在させることによって,これとは全く異なる糖の炭素骨格変換を伴うエピ化反応が起こることが,我々によって知られるようになった.この新規な反応は普通メタノール溶媒中で進行するがジアミンを化学的に修飾することで疎水性を付与し,この効果により水溶液中においてもエピ化が進行するような反応場を構築することに成功した. N,N,-ジメチル-N'-アルキルエチレンジアミンの高いエピ化能に注目して,このもののアルキル鎖長を連続的に変化させ,疎水性の効果を検討した.N'-アルキル基がメチル,エチルと短鎖の場合はメタノール溶媒中ではエピ化が進行するものの,水溶液では全く不活性であった.それに対してオクチル,デシル基と長鎖化することで水溶液中においてもエピ化能を示すようになり,メタノールの場合と同程度の値得られた.ヘキサデシル,オクタデシルの様な場合には,グルコース,マンノースいずれのアルドースを反応における出発原料糖としても生成物の組成は等しく,両エピマー間に平衡が成りたっていることが認められた. また,配位子の疎水性の増加にともない,Ni錯体は水溶液中にてミセルを形成することが錯体水溶液の濃度ー表面張力曲線より確認され,錯体の自己組織化した集合体が金属-ジアミン-糖からなる配糖錯体形成に重要な要素であることが認められた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小山内 州一: "(総説)脂鎖含有錯体を用いる糖のエピ化と分枝化" 油化学. 41. 810-817 (1992)
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[Publications] Shuichi OSANAI: "Preparation of Optically Active Double-Chained Diammonium Cationic Amphiphiles and Their Surface and Colloidal Properties" J.Jpn.Oil Chem.Soc.(Yukagaku). 41. 293-300 (1992)
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[Publications] Ryoji YANAGIHARA: "Novel Branching of a Ketose Promoted by the Nickel(II)-Diamine Complex.The Isomerization of D-Fructose to D-Hamamelose" Chem.Lett.89-90 (1992)