1993 Fiscal Year Annual Research Report
チロシン残基を含む光学活性ペプチドファンの新規合成と機能評価
Project/Area Number |
04650760
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
加藤 明良 成蹊大学, 工学部, 助教授 (00167339)
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Keywords | L-チロシン / 化学修飾 / エステル交換反応 / カップリング / テトラペプチド / ペプチドファン / コンホメーション |
Research Abstract |
平成4年度は、天然アミノ酸の高度利用を目指し、L-チロシン(Tyr)を含む新規な光学活性ペプチドファンの合成を行った。L-チロシンの保護・脱保護、フェノール性水酸基の化学修飾、繰り返しカップリング反応、高希釈条件下での環化反応を駆使し、目的のペプチドファンの合成を達成したが、非常に低収率であった。そこで平成5年度は、ペプチドファンの収率の向上を目指し、反応条件の再検討を行った。その結果、次のことが明かとなった。1。OHをベンジルオキシカルボニルメチル、N端をt-ブトキシカルボニル(Boc)基、C端をトリクロロエチル(Tce)で保護したBoc-Tyr(OCH_2CO_2Bzl)-OTceのベンジル保護基をアルコール中Pd-cで接触還元により除去する際、容易にエステル交換が起こることを見い出した。このエステル交換反応は、イソプロパノールを溶媒として用いることにより、ほぼ完全に抑制できることもわかった。2。H-Tyr(OCH_2CO_2Bzl)-OTceとBoc-Tyr(OCH_2CO_2H)-OTceを水溶性カルボジイミド(WSC)-添加物法を用いてカップリングを行った際、アミン成分2分子が反応に関与した副生成物を単離することができた。これらの点を改善することによって、目的のペプチドファンを平成4年度に比べ高い収率で合成することが可能となった。最後に、ペプチドファンの溶液中のコンホメーションを核磁気共鳴(NMR)による4個のアミドプロトンのケミカルシフトに対する温度依存性の測定から調べた結果、ペプチドファンは、ジメチルスルホキシド中では、特定の強い水素結合を持たないことが明かとなった。
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