1992 Fiscal Year Annual Research Report
酵素類似機能を有する一価銅錯体を触媒とするアリル誘導体の合成
Project/Area Number |
04650762
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松原 凱男 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80088450)
|
Keywords | 酵素類似触媒反応 / 銅(I)錯体 / アスコルビン酸 / 不均一系触媒 / アリルハライド / 水酸化反応 / π-アリル銅ハライド |
Research Abstract |
バクテリアあるいは酵母中の天然酵素の様な高次な生体反応をモデルとして省資源、省エネルギー化を目的とした有機化学工業への応用の一環として酵素類似機能を有する銅(I)錯体を触媒とするアリル誘導体の合成について検討を行なった。用いた系は、銅(I)錯体を金属酵素機能のモデルとし、アリルハライドとの反応で、π-アリル銅ハライドを複合体とするアリル誘導体合成のプロセスを設計し、銅(I)錯体について種々実験を行い、そのターンオバーの向上について検討を加えた。 モデルの担体として、有機高分子としてポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリルおよび有機ゲル化合物としてキレート樹脂であるIRC-718、弱酸イオン交換樹脂であるCG-50、またシリカゲル表面にイミノ二酢酸基を誘導した無機修飾ゲルであるAD silicagelをそれぞれ用い、3-クロロ-1-プロペンの水酸化反応を種々の条件下で検討した結果、アルゴン中、アスコルビン酸と一価銅が高い活性を示し、特に高分子およびゲル等を用いた方が極めて高い活性を示した。また、アリルハライド類して3-クロロ-1-プロペン以外に、1-クロロ-2-ブテン、3-クロロ-1-ブテン、1-ブロモ-3-メチル-2-ブテンおよびシンナミルクロリドのそれぞれの水酸化反応を行った結果、いずれも高い活性を示した。担持体の種類による活性(ターンオーバー)はいずれの系においてもPMMA>AD silicagel〜CG-50〜IRC-718>PAN系の傾向を示した。さらに、触媒活性におよぼす諸因子についてそれぞれ検討した結果、酵素的な類似反応性を示し、その反応は、担体に担持された一価銅と配位子とが錯体を形成し、その後、担体表面に生成した錯体とアリルクロリドとの反応において、担体表面の疎水的なミクロ環境による反応基質の濃度増大効果を示すとともに、反応中間体にπアリル銅クロリド錯体を経由する触媒反応を示した。
|
Research Products
(1 results)