1992 Fiscal Year Annual Research Report
電子移動反応を利用するフッ素系生理活性物質の分子設計および新規合成法の開発研究
Project/Area Number |
04650765
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
淵上 寿雄 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (10016701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
昆野 昭則 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助手 (50205572)
|
Keywords | フッ素化合物 / 生理活性物質 / 電子移動 / 電解部分フッ素化 / モノフルオロβーラクタム / 位置選択性 |
Research Abstract |
有機分子の部分フッ素化は生理活性物質を世に供給する上で重要である。しかしながら、そのフッ素化法には問題が多く選択的な効率の良いしかも安全な方法の開発が望まれている。本研究はこれらの点に鑑み、電極上での電子移動反応(電解反応)を利用することにより、従来から特異な生理活性が期待されているにもかかわらず、効率の良い合成法がなかった含フッ素βーラクタム類及びステロイド類の新規合成ルートの開発を行ったものであり、前者については所期の目的を完全に達成した。 1.4ーチアヅリジノン類の選択的陽極モノフッ素化とこれを利用する含フッ素βーラクタム類の新規合成法の開発: チオグリコール酸エステルとイミンから容易に得られる4-チアゾリジノン類をフッ化物ノオン存在下、陽極酸化するとフッ素原子が硫黄原子とカルボニル基にはさまれた炭素原子上に位置選択的かつ効率良く導入されることを見出した。これは含硫黄複素環化合物の電解部分フッ素化の最初の成功例である。本反応をフッ素化剤を用いる化学法との比較を行った結果、化学法は一般性に欠けることが分り、電解法が汎用性、安全性の点から優ることが明らかとなった。ついで得られたフッ素化体から容易に誘導できるスルホン類を熱分解することにより定量的にモノフッ素βーラクタムへ変換できることも見出した。本法は電解フッ素化をキーステップとする含フッ素βーラクタムのユニークな合成法であり、米国化学会誌に速報として報告した。ついで本反応が含フッ素ラクタム類縁化合物にも適用できることも見出し、英国の速報誌に発表した。 2.含フッ素ステロイド類の新規合成法の開発: 陽極フッ素化は進行するものの選択性に欠けるため、現在、これを改良中であり、いずれ解決できるものと思われる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 成塚 智: "Electrolytic Partial Fluorination of Organic Compounds.4.Regioselective Anodic Monofluorination of 4-Thiazolidinones and Its Application to the Synthesis of Monofluoro β-Lactams" The Jaurnal of Organic Chemistry. 57. 3755-3757 (1992)
-
[Publications] 昆野 昭則: "Electrolytic Partial Fludination of Organic Compounds.VI.Highly Regioselective Electrochemical Monofluorination of Aliphitic Nitrogen-Containing Heterocycles" Tetrahedron Letters. 33. 7017-7020 (1992)