1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650804
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
阿部 康次 信州大学, 繊維学部, 助教授 (00126658)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 英策 信州大学, 繊維学部, 教授 (70021128)
|
Keywords | 高分子電解質錯体 / 細胞 / タンパク質 / 培養 / 分化 / 吸着 / 相互作用力 / 多糖類 |
Research Abstract |
多糖類からなる高分子電解質錯体(PEC)に対する血清タンパク質の吸着は、グロブリン<アルブミンとなり、非特異的吸着が少ないことが明らかとなった。また成分高分子電解質とアルブミンとの相互作用を詳細に検討し、ポリアニオンは薬物結合部位を介してアルブミンと選択的に相互作用することを明らかにした。このようなPEC上でヒト歯根膜細胞を培養すると、成分ポリアニオンの官能基の違いにより細胞応答が異なり、スルホン酸を含む場合は通常の組織培養用ディッシュと同様線維芽細胞様に増殖をする。これに対し、カルボン酸を含むPECでは、分化の指標であるアルカリファスファターゼ活性が上昇すること、三次元的な組織様細胞凝集塊を形成すること、各種染色法によりCaおよびCaイオンの沈着が見られること、透過型電顕像より凝集内部に短鎖コラーゲンを含む細胞外マトリックスがエキソサイト・シスと共に多量に観測できることなどから,歯根膜細胞が骨芽細胞へ分化している可能性が強く示唆された。また、コラーゲンの合成・分泌を促進する活性型ビタミンCおよび分化を促進するデキサメタゾンを添加すると、スルホン酸を含むPEC上でも上記のカルボン酸素PECと同様な挙動を示すことから、PEC自体が細胞に何らかの刺激を与えて分化を誘導していることが判る。さらに、インスリノーマ細胞(RINr)を培養すると、PECの荷電および親・疎水性のバランスに従い、伸展形態、凝集形態、浮遊凝集形態をとるようになる。特に、適度な負荷電を有する親水性表面で形式される浮遊凝集形態は、インスリンの合成、分泌が他の状態に比べ明らかに増大しており、細胞の機能発現に対して細胞間の接触が重要であることが判った。このように、PECはin vitroでの機能培養用基材として極めて優れた性質を保持していることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] A.Teramoto,M.Watanabe,E,Iizuka,K.Abe: "Interaction of Polyelectrolytes with Albumin Using Fluorescence Measurements" J.Macromol.Sci.,Chem.,. (1993)
-
[Publications] 阿部 康次 土田 英俊: "高分子と細胞膜の相互作用" 共立出版, 127 (1992)