1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650806
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松下 裕秀 名古屋大学, 工学部, 講師 (60157302)
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Keywords | ミクロ相分離構造 / モデル分子 / グラフト共重合体 / アニオン重合 / モルフォロジー / 交互ラメラ構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高分子複合系の1つであるグラフト共重合体のミクロ相分離構造をモデル分子を用いて研究し、分子レベルで理解しようとするところにある。グラフト共重合体が持つ構造的特徴は、分岐点で2種の高分子鎖が通常1:2で分岐しており、ミクロ相分離界面ではそれらが非対称に配列されることである。本研究では、グラフト共重合体のうち最も単純なモデルと考えられる分子、すなわち一点よりA鎖1本とB鎖2本が分岐しているAAB型の星型共重合体を試料として研究を進めた。この研究では分子構造が明確でかつ純度の高い試料を準備し用いることが非常に重要である。共重合体の構成成分はポリスチレン(S)とポリ(2-ビニルピリジン)(P)とする。試料の合成は次の4段階に分けて行なわれた。 1)クミルカリウムを開始剤としTHF中でスチレンのアニオン重合を行ないリビング末端と過剰量の1,3,5‐トリスブロモメチルベンゼンを反応させる。 2)1)で得られる反応混合物からポリスチレンの末端に2ヶのブロモメチル基を持つ二官能性ポリマーのみを単離する。 3)別にポリ(2-ビニルピリジン)をアニオン重合により合成し、このリビング末端と、2)で得られたポリスチレンの反応を行なう。 4)3)で得られる反応混合物からGPC分取により目的物を単離する。 これらの方法によって得られるグラフト共重合体の組成、分子量、分子量分布測定から分子特性評価を行なった。これらの試料のフィルムを溶媒キャスト法により作成しそのミクロ相分離構造を透過型電子顕微鏡写真撮影とX線小角散乱実験により観察した。 分子特性を詳しく調べた結果、分子量分布および組成分布が狭く設計どおりのモデルグラフト分子が3種類得られていることが判った。それらのポリスチレンの体積分率は各々0.24,0.34,0.58である。モルフォロジー観察の結果、体積分率が0.24,0.34の二つの試料ではSのシリンダーがPのマトリックス中に六方状に配列した構造が、また体積分率が0.58の試料ではSとPの交互ラメラ構造が観察された。これらの結果はAB型二元共重合体の結果とほぼ一致している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Mogi: "Preparation and Morpholgy of Triblock Copolymers of the ABC Type" Macromolecules. 25. 5408-5411 (1992)
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[Publications] Y.Mogi: "Tricontinuous Morphology of Triblock Copolymers of the ABC Type" Macromolecules. 25. 5412-5415 (1992)