1992 Fiscal Year Annual Research Report
アイオノマーにおけるイオン会合体の高次構造と分子運動に関する研究
Project/Area Number |
04650808
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻田 義治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (70016591)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉水 広明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10240350)
木下 隆利 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (60135407)
|
Keywords | アイオノマー / イオン会合体 / 高次構造 / 分子運動 / 電子スピン共鳴スペクトル / 粘弾性 / α分散 / β分散 |
Research Abstract |
数モル%以下のメタクリル酸金属塩を主鎖に含みマトリックスとしてポリエチレンから成るエチレンアイオノマーが調製され、アイオノマーの特徴であるイオン会合体の高次構造とその分子運動が検討された。初年度は主にイオン会合体内の金属イオン近傍の微細構造及びスピンプローブを用いてマトリックスとイオン合会体近傍の分子運動を電子スピン共鳴スペクトル(ESRスペクトル)により明らかにした。前者の結果から金属イオン近傍の微細構造は低分子メタクリル酸金属イオンと基本的には同等の規則的構造を有していることが判明した。また後者の結果によると、疎水性及び親水性スピンプローブはそれぞれ主としてマトリックス部分とイオン会合体近傍の分子運動を反映した。マトリックス部分の分子運動がイオン会合体近傍よりより低温域から始まり、イオン会合体そのものの分子運動性の悪さを示している。さらにESRスペクトルから、イオン会合体近傍の回転相関時間が大きいことが確かめられ、前述の結果と一致するものである。 エチレンアイオノマーの粘弾性スペクトルの温度依存性及び周波数依存性から同様にマトリックス部分とイオン会合体部分の分子運動を検討した。マトリックス部分の分子運動が金属塩の中和度とともに変化するβ分散として得られた。イオン会合体部分の分子運動は少々複雑であるが、中和度にしたがい種々のモードの分子運動に帰属された。中和度にたいしてほとんど一定な温度で観察される転移と認められる現象がみられた。さらに高温域にイオン会合体のセグメント運動に帰属されるα分散が観察された。このようにアイオノマー中に含まれるメタクリル酸含量やその金属塩による中和度によってイオン会合体の高次構造・物性・分子運動が大きく変化する事が判明し、アイオノマーの本質を理解する上で非常に重要である。今後次年度に向けて更なる解明が期待される。
|
-
[Publications] Y.TSUJITA,M.KATO,T,KINOSHITA,A.TAKIZAWA: "Miscibihity estimated by the volume change chue to mixing of a polystyreue/poly(vinyl methyl ether)blend system" Polymer. 33. 773-777 (1992)
-
[Publications] Y.TSUJITA: "Membrane Science and Technology" Marcel Dekker, 56 (1992)
-
[Publications] Y.Yamada,N.Furukawa,K.Wada,Y.Tsujita,A.Takizawa: "Anvances in Polyimide Science and Technology" Technomic publishing co.Inc., 9 (1992)