1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650818
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮下 徳治 東北大学, 工学部, 教授 (40124630)
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Keywords | 高分子 / 単分子膜 / LB膜 / 分子認識 / 不斉識別 / 光学分割 / 分子センサー |
Research Abstract |
前年度の研究により、軸不斉ビナフチル基を有する高分子LB膜の作成に成功し、光学活性団を有する高分子超薄膜が作成できた。この単分子膜は約1.8nmと極めて薄く、固体基板上にLB膜として累積することもできた。本年度の研究ではこのLB膜の機能化について検討した。機能としては、生体膜と類似機能の発現をめざし、分子認識機能について検討した。軸不斉ビナフチル基を有する高分子単分子膜を金属電極上に付着し、作用極として光学異性体分子に対する電位応答を観測し、その分子認識、不斉認識能について検討した。この単分子膜修飾電極を電気化学セルにセットし、電解質水溶液中に光学異性体分子としてフェニルエチルアミン(R,S-PEA)を添加したところ10^<-7>Mの希薄濃度のPEAに対して、電位応答を示し、電位はアノード側にシフトした。その電位応答は光学異性体により異なった。S-配置の軸不斉ビナフチル基はR-PEAに対してより大きな応答を示した。明らかに単分子膜中の軸不斉ビナフチル基が光学異性体を不斉識別していることを示している。LB単分子膜が1.8nmと超薄膜であることから高感度を生じ、ビナフチル基が単分子膜中で高度に配向していることが、選択性を増幅しているものと思われる。フェニルエチルアミン以外にもフェニルグリシノールに対しても不斉識別していることが観測され、しかもPEAに対してよりも識別はより大きな応答として現れた。軸不斉ビナフチル基の2位の置換基を水酸基からメトシキ基に変えたときは不斉識別応答は観測されなかった。不斉識別の分子機構についても議論することができた。LB膜において不斉識別応答を観測したのも、またその分子機構についても明らかにしたのはこれが世界で初めての例であり、注目された成果が得られた。
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[Publications] Y.Mizuta,M.Matsuda,T.Miyashita: "Preparation of Polymer Langmuir-Blodgett Films Containing Pyrene Chromophore and Energy Transfer in the Films" Langmuir. 9. 1110-1114 (1993)
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[Publications] Y.Mizuta,M.Matsuda,T.Miyashita: "Measurement of the Long Alkyl Chain Tilting Angle and Wettability of the Surface for Poly(N-alkylacrylamide)Langmuir-Blodgett Multilayers" Langmuir. 9. 1158-1159 (1993)
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[Publications] P.Qian,M.Matsuda,T.Miyashita: "Chiral Molecular Recognition in Polymer Langmuir-Blodgett Films Containing Axially Chiral Binaphthyl Groups" J.Am.Chem.Soc.115. 5624-5628 (1993)