1992 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉をもつモノマーの開環重合による光学活性高分子の合成
Project/Area Number |
04650822
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 資源科学研究所, 助教授 (40179445)
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Keywords | 環状カーボナート / 光学活性ポリマー / 開環重合 / ポリカーボナート / ビナフチル / α-ヘリックス |
Research Abstract |
ビナフチル構造をもつ環状カーボナートを対応するクロロホルメートとジオールから合成する方法を開発し、条件検討により大量合成法を確立した。アニオン触媒による重合挙動を検討し、低濃度・低温でも極めて速やかに開環重合で対応するポリカーボナートを収率よく与えることを見出した。また、非常に弱い求核剤でも容易に重合反応を引き起こすことを明らかにした。相当する光学活性体を合成し、その重合により対応するポリカーボナートを得たが、溶媒不溶のポリマーであった。粉末X線構造解析の結果からラセミ体モノマーから出発したポリマーよりもわずかに高い結晶化度を示すことがわかったが、IRには何ら差は見られなかった。この光学活性体の溶媒不溶化を防ぐ目的で両方のナフタレン環にn-オクチル基を有する光学活性モノマを合成した。すなわち、光学活性ビナフトールをジメトキシ体とした後1-オクタン酸クロリドによりアシル化、還元により、目的とするジオクチル型環状カーボナートを合成した。このモノマーをアニオン開環重合させ、対応する光学活性ポリマーを合成した。このポリマーはクロロホルム等の有機溶媒に可溶であった。ポリマーと、モノマーのメタノール付加体のCDスペクトルを比較した結果、コットン効果の逆転がみられ、ポリマーの二次構造の影響が示唆された。そこでモデルを用いた分子軌道計算によりポリマー構造を推定するととともに、その構造に対するCDスペクトルの理論計算を行った結果、実験結果とのよい一致がみられたことから、このポリマーがα-ヘリックス構造をとっていることが示唆された。以上のように、軸不斉をもつ光学活性モノマーを合成し、開環重合により新しい光学活性ポリマーを得ることに成功した。しかも、このポリマーはα-ヘリックス構造をもつことが示唆された。
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[Publications] T.Hirasa: "Synthesis and Anionic Ring-Opening Polymerization of Cyclic Aromatic Carbonate Having 1,1'-Bi-2-naphthyl Moiety" Polym.Prepr.Jpn.41. 1974-1976 (1992)
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[Publications] T.Ariga: "Alkyl Halide-Initiated Cationic Polymerization of Cyclic Carbonate" J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.31. 581-584 (1993)
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[Publications] T.Takata: "Recent Advances in Development of Expanding Monomers-Synthesis,Polymerization,and Volume Change" Progr.Polym.Sci.18. (1993)
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[Publications] T.Takata: "Expanding Monomers" CRC Press, 399 (1992)