1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650833
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
角岡 正弘 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50081328)
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Keywords | プルラン / マルトース / カルボニル基 / alpha,beta-不飽和カルボニル基 / 光橋かけ反応 / 光二量化 / 酵素分解 / 天然素材 |
Research Abstract |
これまでの研究で、アルカリ共存下でポリビニルアルコール(PVA)とメチルビニルケトン(MVK)を反応させると、側鎖に飽和カルボニル基およびalpha,beta-不飽和カルボニル基をもった水溶性の高分子(PCPVA)が合成できること、この高分子の薄膜に光照射すると、容易に水に不溶化することを見いだしている。本年度の研究では、この成果を天然高分子に応用する立場から、天然高分子として、プルラン(Pln)を用い、低分子モデル化合物としてグルコースの二量体であるマルトース(Malt)を用いて、同様の実験を行った。その結果、PlnにMVKの付加した生成物PCPlnはPCPVAと同様に、側鎖に飽和カルボニル基およびalpha,beta-不飽和カルボニル基をもった水溶性の高分子として利用できること、薄膜で光照射すると容易に水に不溶化することを明らかにした。PCPVAと異なり主鎖が剛直なPCPlnでも、PCPVAと同様に光反応は効率よく進行した。薄膜での光反応では、光照射と共にUV吸収スペクトルでの240nmのalpha,beta-不飽和カルボニル基に基づく吸収が減少すると共に、210nm付近に等吸収点が見られること、IRスペクトルでは、alpha,beta-不飽和カルボニル基に基づく1655cm^<-1>吸収が減少し、1710cm^<-1>の吸収の増大が見られること、さらに、240nmの減少速度はalpha,beta-不飽和カルボニル基濃度の二次に依存することより、この光橋かけ反応はalpha,beta-不飽和カルボニル基の光二量化によるものであることを明らかにした。また、低分子モデル化合物MalのMVK付加物PCMalでも光二量化反応が認められ、光照射によって分子量が2倍になった。PCPlnの酵素分解性について検討したところ、MVKの付加の程度が低い場合には、Plnとほぼ同程度の速度で分解されることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 角岡正弘: "側鎖に共役カルボニル基を有する水溶性高分子の光化学挙動-化学修飾したプルランの光不溶化-" Polymer Preprints,Japan. 42. 2012-2014 (1993)
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[Publications] 角岡正弘: "生分解性プラスチックの現状と展望" 食品と包装. 24. 112-120 (1993)