1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650838
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小嶋 英一 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (80016740)
|
Keywords | 微細藻類 / クロレラ / 水素 / 光強度分布 / 無機塩類 |
Research Abstract |
1.クロレラによる光水素発生に対する培養槽内光強度分布の影響 微細藻類であるChlorella pyrenoidosaによる光水素発生を,藻懸濁液量650mlのガラス製気泡塔型培養槽により検討した.好気的条件下で培養したクロレラ細胞を,一昼夜,暗・嫌気条件下に置き,水素発生に必要なヒドロゲナーゼを誘導させた後,酸素吸収剤ハイドロサルファイトナトリウムを添加し,光照射条件で水素を発生させた.気泡塔の一部を光不透過性の膜で覆った場合と覆わない場合を比較すると,通常の光化学反応とは逆に,膜で覆った場合の方が光水素発生速度は大であった.これはフェレドキシンを経由して流れる電子が,ヒドロゲナーゼによる光水素発生と,カルビンサイクルの二つの経路に,競争的に使われることによると推定された.即ち,膜により槽内に暗部が存在する場合,光合成電子伝達反応の光による調節作用により,カルビンサイクルに流れる電子の割合が減り,光水素発生速度が増すことによると考えられ,このことを培養槽内の光強度分布,及び藻懸濁液の蛍光誘導曲線などの測定により検討した. 2.クロレラの光水素発生の持続時間に対する無機塩類添加の影響 上記の方法によって,クロレラの光水素発生を行なう場合,酸素吸収剤ハイドロサルファイトナトリウムに加えて,亜硫酸ナトリウム,ピロリン酸ナトリウム,食塩などを添加し,水素発生の持続時間への影響を検討した.これらのうち,ピロリン酸ナトリウムは,水素発生の持続時間を増加させる顕著な効果を示すことを見出した.この主な理由は,藻懸濁液のpHがアルカリ側に保たれることで,酸素吸収剤の分解が抑制されることと考えられ,このことを上記と同様な蛍光誘導曲線などにより,検討した.
|