1992 Fiscal Year Annual Research Report
超音波照射による吸収/蒸発を伴う流下液膜内熱・物質移動の促進
Project/Area Number |
04650850
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松田 仁樹 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80115633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板谷 義紀 名古屋大学, 工学部, 助手 (50176278)
渡辺 藤雄 名古屋大学, 工学部, 教務職員 (70109312)
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Keywords | 伝熱促進 / 超音波 / 傾斜流下液膜 / 吸収式ヒートポンプ |
Research Abstract |
吸収式ヒートポンプの高性能化において本質町に重要となる吸収・蒸発を伴う熱・物質移動促進に対して有効と考えられる超音波照射効果の検討を行った。一般に、液体中に強力な超音波を照射すると、音波の伝搬方向に定常的な流れ、あるいは、音場中に置かれた物体の表面近傍に微小な流れや渦が起こる。また、超音波がある放射エネルギーを起えるとキャビテーション気泡が発生する。以上のような超音波の現象に基づいて、本研究では、超音波を用いることにより熱・物質移動促進を達成することを目的としており、超音波エネルギーを伝熱面近傍に効果的に広範囲で作用させるために、傾斜矩形流路下面の伝熱面裏側に直接接着した超音波素子から照射して実験を行った。 実験は、流体としてとりあえずエチレングリコールを用い幅75mm、長さ900mm、傾斜5゚のステンレス製矩形流路で、入口液温約25℃の流下液膜流れを形成し、定常になった後、0.1mmK熱電対を用いて伝熱壁面温度、液膜温度と受波器からデジタルオシロスコープに取り込んだ超音波放射エネルギー強度を流体の流れに平行方向に測定した。29.8kHzの超音波照射により放射エネルギー強度は、素子接着位置でかなり強く、さらに伝熱板内を伝達する超音波1波長(約6cm)ごとに強弱が見られた。熱流束3kW/m^2程度、膜レイノルズ数13.3、流量7.1×10^<-2>kg/m^2・sの場合、熱伝達系数は素子取り付け位置で非照射時より約5倍以上の値が得られており、また、その他の放射エネルギーの強い部分で1.5〜2倍程度促進されていた。 以上、本研究成果としては、伝熱面振動型で音圧の分布により熱伝達系数に分布が現れ、局所的には比較的大きい伝熱促進が行えることが見いだされた。
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